株式会社バイストン倉敷帆布

[ F-INC.サポート・プロジェクト ]
倉敷帆布の文化サイト構築
コーポレートサイト構築
ECサイト構築
象徴商品/IROKHの開発
定番商品/セルヴィッジフラップトート&クラッチの開発

100年以上の歴史と世界最高品質を誇る「倉敷帆布」。糸を丁寧に撚った生地には、職人の技と情熱が織り込まれている。その丈夫さから船の帆として重宝されてきた倉敷帆布は、様々にカタチを変えて今に受け継がれてきた。今回のBRANDing STORYでは、伝統の倉敷帆布を継承する武鑓篤志氏と、ブランディングカンパニーF-INC.との融合のストーリーを紐解いた。

ブランド誕生伝統の倉敷帆布

武鑓明治21年(1888年)、武鑓石五郎とその妻・梅によって、倉敷の地で帆布の歴史が始まりました。「バイストン」という社名は、二人の創業者の名前(バイ=梅、ストーン=石)を冠しています。丈夫な帆布をつくることによって「世の中の役に立ちたい」という創業者の強い想いは、現代の倉敷帆布のDNAの中にもしっかりと息づいています。

萩原世界最高品質と言っても過言ではない織物ブランドだと思います。工場を見ると驚きます。糸を撚るところから始め、プロダクトまで一貫して作っていますから。ルイ・ヴィトンの商品に使われたこともあるんですよね。

武鑓そうですね。帆布は中国製などもありますが、糸を撚るところはできないので、品質の面で明確な違いが生まれます。こうした技術面や織機に関することは、一昔前までは絶対に他の人には言えないほど秘密にされていました。現在では、言ったり見せたりしても、他に真似できるところがないので公開しています。

両者の出会い「歴史」を伝える

武鑓もともとは素材メーカーとして生地を卸していたのですが、ある時から自社でもオリジナルのバッグを作りはじめ、少しずつブランドが形成されて行きました。やがてトップブランドを創りたいという想いも抱くようになりました。そんなときに紹介で出会ったのが、エフインクの萩原さんです。

萩原倉敷帆布さんの長い歴史の中で、こうして関わることができてうれしく思います。

武鑓倉敷帆布の歴史を一般の人にも分かりやすく伝えていく必要があるということを萩原さんに言って頂き、なるほどなと目からウロコが落ちました。

萩原岡山県にある倉敷帆布の工場を見学させて頂き、武鑓社長をはじめ、職人さんたちが誠意とエネルギーを傾けて「ものづくり」に取り組まれ続けていることに、とても深い感銘を受けました。もっと多くの方に倉敷帆布の歴史と文化を知ってもらうべきだと思ったんです。

武鑓それまでやってきたことも間違いではないのですが、成り行きに任せていたところもあったので、それらを統合的にまとめ、一つの歴史として紹介することを提案・実行してくれたのがエフインクさんです。

倉敷帆布の文化サイト「経緯の未来」

萩原まずはじめに、倉敷帆布を紹介するサイト「経緯の未来」と、コーポレートサイトの構築をご提案させて頂きました。「経緯の未来」では、倉敷帆布の歴史、品質に込められた職人技、ものづくりに対する情熱などを分かりやすく伝え、経糸・緯糸の織りなす「伝統と未来」を提示しました。

武鑓倉敷帆布というものを系統立てて、一般的に分かりやすく伝えて頂いたことは、とても大きな前進でした。今までは他の織物との違いを説明するのが、専門的なこともあってなかなか難しい面がありました。大量生産のバッグと倉敷帆布のバッグを両手に持って一年間使って頂けたら違いが分かるのですが、そうもいかないので(笑)。「経緯の未来」ができたことで、糸を丁寧に作ることの価値が伝わり、品質の良さを納得して頂けるようになりました。

萩原武鑓社長や職人さんは、長年ずっと倉敷帆布に携わっているので「ものづくり」が日常になっていると思うんです。超高品質であることが当たり前になっている。でもちょっと俯瞰してみると、これはとてつもなく凄いことで、本当に感動することなんですよね。内側にいると見えない部分というのを、客観的に見ることで、その真価を伝えることができたのではないかと思っています。

武鑓ブランドというものは、こうした「歴史」「文化」を伝えていくことをしないと、残せないのかもしれませんね。

萩原ブランディングをお手伝いさせて頂く際、新しいブランド名を付けてかっこよく見せればお客様に支持されるものではなく、持っているブランドの良さや強みを認識して、それをどのように活用し、伝えていくのかが大事だと思っています。例えば倉敷帆布さんのロゴなども、目新しいデザインにするべきだとは思っておらず、古き良きものをずっと大切にしていることの方が良かったりするわけです。そういった「歴史を尊重する姿勢」と、「未来へ繋げる挑戦」が撚り合わさったのが、今回のブランディングだと思います。

象徴商品『IROKH』の誕生

萩原「未来へ繋げる挑戦」という意味では、これまで倉敷帆布さんが作られてきたプロダクトは、ある種倉敷のお土産的な商品が多く、クラシックの良さを活かしたデザインでした。それもすごく素敵なのですが、世間でいう帆布バッグの世界観からは、あまり出ていなかったところもありました。そこで、新しい帆布の使い方・展開の仕方を「チャレンジ」してみようというのが、武鑓社長とお話しさせて頂いた上での一つの大きなテーマとなりました。我々としても、帆布を「過去の素材」ではなく、「未来の素材」として再解釈しようと挑戦しました。そうして誕生した新しい商品ブランドが『IROKH』です。

武鑓『IROKH』が誕生したことで、倉敷帆布のブランドは5つになり、日用品から高級品まで全方位にわたって網羅できるようになりました。帆布の可能性や用途が広がっただけでなく、系統的にも分かりやすくなったので、今後ブランド展開していく上でも助かりそうです。

萩原『IROKH』というブランド名には、「Identitiy」「Roots」「Originality」という三つのキーワードと倉敷帆布(Kurashiki Hanpu)の頭文字を冠しています。辿ってきた歴史を活かしながら、未来を見つめていくという想いが込められています。革新的なプロダクトを創り出す上で、エナメルやパイソンなど、今まで帆布と掛け合わされてこなかった素材を融合させ、倉敷帆布の持つ無限の可能性を表現しました。

武鑓もし違うデザイナーに頼んでいたら、いわゆる「高級バッグ」はできたと思いますが、『IROKH』にあるような斬新なプロダクトはできなかったと思います。

萩原丈夫な倉敷帆布の特製を活かし、ジーンズのように使えば使うほど味が出るように、エイジングできるデザインを心がけています。従来の国内産帆布にはないプロダクトにチャレンジさせて頂き、我々にとっても非常に良い経験になりました。

倉敷帆布の「新スタンダード」

萩原現在は、より多くの方に世代を超えて使って頂けるシリーズとして、「新スタンダード/セルヴィッジフラップトート&クラッチ」の開発をお手伝いさせて頂きました。良質でシンプルという、倉敷帆布のイメージをダイレクトにお伝えしようと思って作りました。「セルヴィッジ」というのは「生地の耳」のことです。通常、帆布を途中で切るとほつれてしまうのですが、本作は織機の大きさに合わせて作っていますので、両端に美しい均一のセルヴィッジが残り、ほつれることなく綺麗な仕上がりになっています。

武鑓すごくシンプルで綺麗ですよね。

萩原このバッグ自体が一枚の帆布を包み合わせて作られており、シンプルモダンで美しいプロダクトになりました。生地が無駄にならない型取りをしていて、材料を大切にしたミニマルな設計を心がけています。このシリーズの全ての商品に、厳しい旧jis規格の(A)マークが付されています。国産帆布のみに許された最高品質の証しです。

武鑓「新スタンダード」シリーズはつい最近店頭に並び始めたのですが、かなり反響もよく、目の肥えた人や、お洒落な人に手に取ってもらうことが増えました。

萩原着色にもこだわっていて、商品が出来上がってから染めているのではなく、糸の段階から染める「糸染め」を行っているので、こすれて色が剥げる心配もありません。糸から布を作っている倉敷帆布さんだからこそ可能な技術です。天然素材だけで作られる倉敷帆布は、耐久性や通気性に優れ、使い込むほどに自然な味わいが生まれます。ぜひ世代を超えて使い続けられるバッグになってほしいです。

歴史を紐解き、ビジョンを創る

萩原何度も工場へ足を運ばせて頂く中で、歴史の重さと、ものづくりに励む方たちの志を目の当たりにしました。織機を色々な部品を組み合わせてリノベーションしながら使っていることや、撚った糸を繋ぎ合わせる技術、模様を作っていくときに職人さんが一つ一つ手で織り上げていく様子、それらを見た時に「伝統工芸」と変わらないと思いました。もっともっと歴史を紐解いて、その品質・美しさ・想い・可能性が最大限に活かされることを各プロジェクトで意識しました。これは共に「ビジョンを創る」ことだったと思っています。

武鑓100年以上続いてきた「倉敷の帆布」という素材自体にも、何かすごいパワーが宿っているのでしょうね。だから残ってきたのだろうと。それをお客様に分かりやすく伝えて頂いたのがエフインクさんです。一番の功績は、その後に色々なところからのお問合わせが増えたことです。

萩原弊社の方でお預かりしている新しいバッグも、すでに50個売れたんですよ。またちょっと追加をお願いしたいと思っています。(笑)

武鑓すごいね(笑)。すぐに生地を作らないと欠品になりそうです。普通のブランディングですと広告を打つとか社屋をキレイにするとか、そういったことがメインになりそうですが、エフインクさんには総合的・本質的にブランドを見直して頂きました。織機の数は限られていますが、売上も着実に上がってきているので、頼んで間違いなかったと実感できています。

萩原倉敷帆布さんは、爆発的に注文が入ったからと言って、すぐに大量には織れないんですよね。これは弱みと受け取られがちですが、視点を変えると「強み」になると思っています。大量生産できないということが「希少性」を生み、それがメイド・イン・ジャパンの高度な職人技と融合することで、誰にも真似できないブランドを確立していると思います。

日本の伝統ブランドを「世界」と「未来」へ

武鑓日本から世界へ向けてブランドを発信したいと考えています。現在残っている織機は60台しかないので、大量生産することはできません。流行を追うのではなく、より本質的でクオリティの高い商品を海外に発信したいと思っています。

萩原まだサイトは英語版や中国語版などはありませんが、その面でもゆくゆくは世界に倉敷帆布を発信できればいいですね。また『IROKH』などで試みた新しい顧客層も掘り起し、丈夫で美しい倉敷帆布が多くの人の生活を彩ってほしいと願っています。

武鑓それと並行して、人を育て、織機を大切に継承し、倉敷帆布を後世に残す方法も探っていかなければなりません。それは倉敷帆布という布に生かされてきた者の使命だと思っています。

萩原新しい領域を開拓するだけでなく、「継続してきたことを継続し続ける」ということも、一つの重要なビジョンですよね。人から人へ技術を継承し、今ある織機を後世に受け渡す。そういった歴史を大切にして、それを伝え、継続しようと努める姿勢こそが、倉敷帆布というブランドの魅力であり、未来を形創る原動力なのだと思います。

武鑓倉敷帆布を継承できるよう、今後も誠心誠意努めてまいります。

萩原今日は、どうもありがとうございました。

武鑓ありがとうございました。

倉敷帆布 本店
〒710-0146
岡山県倉敷市曽原414-2(GOOGLE MAP)
Tel:086-485-2112
Fax:086-485-2119
Open 10:00 ~ 17:00(不定休)
コーポレートサイト:
http://www.baistone.jp/
経緯の未来:
http://kurashikihanpu.com/

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