ジェクト株式会社 代表取締役社長 市川功一/株式会社エフインク 代表取締役 萩原房史

ジェクト株式会社中原工房

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1920年(大正9年)創業。東京オリンピックが開催される2020年にはちょうど100周年の節目を迎えるジェクト株式会社は、川崎市中原区を拠点に地域密着型の企業として町づくりに携わってきた。その事業活動の延長線で2014年に生まれた「中原工房」は、地域の人たちに DIYを楽しんでもらうために提供される工房。ジェクトが積み重ねてきた100年の歴史を、ブランディングカンパニーF-INC.というフィルターで覗くと、そこには未来が浮かび上がってきた。

半径5kmに全力投球地域密着型企業

萩原市川社長と出会って最初に感じたのは、“とても堅実な経営をされている”ということでした。一般的に企業は、事業の成功モデルが確立してくると、そのモデルを他のエリアにも広げていこうとします。ところが、市川社長にお話を伺ってみると、100年という歴史を持ちながら、むしろ半径5kmという限定したエリアにこだわって建設ビジネスを突き詰めようとされている。地域に根ざし、地域で培ってきたものを大切にしていこうという考えを明確にお持ちになっていることに正直、驚きました。

市川いえ、半径5kmというのは特別に意識してやってきたわけではないんです。私たちが展開してきた事業を分析してみたら、結果として90%以上が半径5kmに集まっていたということでして(笑)。実は、この地域の人口増加率は全国的にも非常に高く、ここでシェアを上げることが重要だと思ってきました。施工にしても物件管理にしても、いたずらにエリアを広げればその分、スピード感が下がるし、質も低下してしまうでしょう。激戦区であるこのエリアで、しっかりとビジネスをすることを目指した結果が、半径5kmだったんです。

萩原広げるのではなく、深める。それが質につながり、やがて信頼につながる──。本当に尊敬すべき経営方針だと感じました。

ふれあいの場地域への貢献

萩原地域にお住まいの方々を対象としたさまざまなイベントに取り組まれていることも、とても素敵だと思いました。

市川夏休みには工作教室を開催したり、地域の方々に建設業に触れていただく「コンクリート祭り」は今年で4回目となりました。地域のみなさまとの良好な関係づくりは、『なにかあったらジェクトに相談してみようか』と、将来的な顧客基盤づくりにつながります。例えば、弊社の事業規模では研究所を持つなどの巨額投資は困難ですが、このような地域との関係づくりへの投資なら実現可能だし、それは必ず企業価値の向上につながると思っています。

萩原「中原工房」は開設2年目になりますが、地域貢献の拠点としてDIYのワークショップ会場として使用するなど、地域のみなさまから支持され愛されています。さらにその和が広がってさまざまなメディアなどに紹介され、新しい出会いの場として縁を結び出しています。

市川F-INC.さんと出会わなかったら、どうなっていたかと思います(笑)。

資材倉庫を地域に開放ショールーム機能の具現化

萩原初めてこの場所を訪れたのは2013年。当時、ジェクトさんが進めていた『カスタマイズ賃貸住宅』の事業化計画に関わらせていただき、いろいろな施設なども見学させていただきました。

市川そのころ、まだここは資材倉庫でしたよね。

萩原いろいろな建築資材や工具、機械などが置いてあって、ワクワクするような魅力を感じました。それで“ここを何かに利用できるのではないか”と、ワークショップというスタイルで、社員のみなさんと意見を出し合うことから始めさせていただきました。ジェクトさんが所有していて、でも活用しきれていなかった建具工場・倉庫を新しい視点で有効活用する“リノベーションを通したブランディング”でした。

市川以前、解体した木造建築の廃材を『宝の山』だとおっしゃった方がいました。いまではそのような価値は市場に認められていますが、昔の私たちには“廃材は廃材”にしか見えなかった。それと同じように、F-INC.さんには単なる資材倉庫に、私たちでは気づかなかった価値があることを教えていただきました。

萩原カスタマイズ賃貸の事業とも、噛み合うものがありました。

市川弊社では、現在約2700室の賃貸物件を管理していますが、ある程度築年数の経過した物件をお客さまの自由にリフォームして使っていただこうというのがカスタマイズ賃貸です。ところが、お客さまに壁紙を選んでいただこうと見本をお見せしても、結局は『よくわからないから』と白い壁紙を選ばれたりする。そんなときのために、実際の部屋に近い形で壁紙や床材などを見られる場所が必要ではないかという課題がありました。

萩原資材倉庫が、「中原工房」としてリフォームを事前に体感できるショールームになったのは必然です。

DIYを楽しむ空間建具工場跡を活用

萩原工具や工作機械がそろった工房をレンタル利用できるのも、「中原工房」の大きな特徴です。

市川カスタマイズ賃貸のお客さまは、部屋づくりにとても感度が高くて、入居後も棚や家具などをDIYで作りたいというニーズが多い。でも、さすがに部屋でDIYをするのは難しい。

萩原以前は、木製の建具工場だったんですよね?

市川弊社は、地域の公共建築も多く受注させていただいていますが、昭和20〜30年代頃の公共建築は木造が主流で、そのための木材も自前で製材していたし、建具も自社製造していたんですね。それで、木工機械がそのまま残っていたんです。

萩原「中原工房」は、賃貸住宅にも積極的に自分らしいライフスタイルを実現できる「カスタマイズ賃貸」というサービスの具体化や実践のためのモデルルームとして機能すると共に、この界隈に住む方がこの場で DIYで自ら自分らしさを表現する家具や雑貨を製作することができる空間。ご利用されているお客さまはみなさん、とてもイキイキとした目をされていますね。

市川DIYでつくりたいけどちょっと不安という方のために、作業をサポートする体制も整えています。ものづくりを体験するイベントも人気です。F-INC.さんのおかげで、使っていなかった空間が、新しく生まれ変わることができました。

生活スタイルの提案生活に潤いや楽しさを

萩原完成した製品を買うのではなく、自分で作って楽しむという文化が日本でも定着してきました。社会的な流れとして、「中原工房」のようなDIYスペースが生活エリアの中に必要な時代になっていると感じます。

市川海外では、マンションの共用施設としてDIYルームが完備されている物件も人気なんですね。私たちは、入居者にただ物件をお貸しするだけじゃなく、生活に潤いや楽しさもお届けできる環境を整えていかないといけない。

萩原週末にマーケットができたり、地域のみなさんが憩うカフェなども併設させたいですね。

市川中原界隈のこの場所に「中原工房」をいう拠点を作ることで、この界隈に住んでいる方々の生活の質を向上することに貢献したい。SOHOのように、モノづくりに携わるクリエイターに入居してもらって、「中原工房」で作業していただくとか、職住一体の暮らし方も提案してみたいと。それによって地域に根ざした文化が育まれていくような。

萩原そういう環境があり、そういう人が住まうことで、この地域全体の満足度と価値を高めていくことにもつながっていくのだと思います。

市川そうすれば自ずと住民の方だけでなく、不動産オーナーの方々にも大きなメリットを生み出すことができるはずです。

社内意識の変革社員が自分事化できる象徴的経験

萩原「中原工房」は、ジェクトさんの社内的な意識改革にもつながったと感じています。社会貢献・地域貢献の大切さは、もはや企業としては当然のテーマですが、従業員の方を含めて浸透させるのは簡単ではありませんから。

市川今回のリノベーション・ブランディングを進めることによって、単に業務としてのサービスを提供するだけでなく、お客さまや地域との信頼関係を構築することの大切さを共有できたと思っています。“ジェクトは地域を大切にしていくんだ”というメッセージが、社員に自分事として伝わったのではないでしょうか。みんなで考え、みんなで創り、みんなで動かしているわけで、『地域貢献は大切です』とただ号令するだけとはまったく違います。

萩原先日、「中原工房」の取り組みを通じていろいろな方との接点が増え、物件に対する問い合わせにもつながっているというお話を工房長である小水内さまからお伺いしました。成功体験は意識を一気に変えてくれます。工房長はもともとポジティブな方ですが、“お仕事を楽しまれている”という雰囲気が伝わってきます。

未来を変えるその一歩の進め方

市川“これから”は、きっと“これまで”とは違います。私は長年、建設業・不動産業に携わってきましたが、以前は必要以上にお客さまの生活に立ち入らないというのが我々の仕事のスタンスでした。でも、これからは住む人の気持ちにタッチすることが大切だと思うんです。

萩原ジェクトさんは、100年もの長きにわたって地域を大切に歩まれてきました。そして、これからも地域を大切にすることは変わらない。ただ、そのカタチは以前とは違う未来を見つめています。

市川「中原工房」が、その輪郭を示してくれました。過去から受け継いできた遺産を守りながら、そこから新しい価値を生み出してくれた。

萩原ものすごく特別なことじゃなく、ジェクトさんはこれまでの発展の延長線上で、無理のない“次”に挑まれている。本当に堅実に。

市川これからも、背伸びしないでやらせていただきます(笑)。よろしくお願いしますね。

萩原こちらこそ、よろしくお願いします。

ジェクト株式会社
〒211-0053
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Tel:044-755-2525
Fax:044-751-6327
http://www.jecto.co.jp/

中原工房
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