F-SCHOOL
2025年08月13日

企業ブランディングとは?成功につなげる方法と具体施策を徹底解説!

  • TOP
  • 企業ブランディングとは?成功につなげる方法と具体施策を徹底解説!

記事を書いた人

ブランディングディレクター

大規模商業施設やリゾートホテルをはじめ、企業やカフェなど幅広いジャンルの案件に対し多岐にわたりブランディングを推進。『脳みそから血が出るくらい考えているか』を常に自分に問いただしながら、クライアントさえ気づけていないブランドの進むべき道や可能性、デザイン表現をご提案できるよう日々挑戦中。

はじめに:自社にこんな課題を感じていませんか?

「企業のブランディングを始めたいが、何から手をつければいいかわからない」「商品やサービスには自信があるのに、なかなか選ばれない」。そんな課題を感じている企業担当者の方も多いのではないでしょうか。

 

企業ブランディングは、単なるロゴや広告の制作だけではありません。企業が持つ想いや価値を社会に届け、顧客や社会から共感を得るための、戦略的な取り組みです。自社のブランド力を高めることで、選ばれる理由を明確にし、市場での存在感を強化することができます。

 

本記事では、企業ブランディングの基本的な考え方や、ブランドの種類ごとの特徴、戦略を立てるためのポイント、さらに実践的な具体施策まで幅広く解説します。「自社の強みや魅力をしっかり伝えたい」「ブランド力を高めて、競争優位を築きたい」とお考えの方は、ぜひご一読ください。

この記事の主なトピックス

1. 企業ブランディングとは?目的や効果を解説

2. 企業ブランディングが注目されるようになった背景

3. 具体的な企業ブランディングの方法

4. 企業ブランディング施策の具体例

5. 企業ブランディングの成功事例“4選”

1. 企業ブランディングとは?目的や効果を解説

企業ブランディングとは、企業の存在意義や価値観、ビジョンなどを社内外に向けて発信し、企業全体としての共感や信頼を獲得していく活動です。

 

競合との差別化が難しくなっている現代においては、「この企業だからこそ選びたい」と思ってもらう理由を明確に打ち出すことが、ブランドの持続的成長につながります。採用や営業、広報などあらゆる接点に影響するため、企業活動の基盤として戦略的に取り組むことが重要です。

企業ブランディングの目的

企業ブランディングの目的は、顧客や社会からの共感を得ることにあります。単に認知度を高めるだけでなく、企業としての存在意義や姿勢を明確に伝えることで、信頼や好感といった価値を育むことができます。

 

さらに、こうした取り組みは企業価値の向上にもつながり、採用活動や取引先との関係構築など、企業活動全体への波及効果をもたらします。企業ブランディングは、持続的な成長を目指すうえで不可欠な戦略といえるでしょう。

企業ブランディングにより期待できる効果の一例

効果例1:競合の中から選ばれる存在になる

ブランドの独自性や強みを打ち出すことで、数ある競合の中から「選ばれる理由」を明確にできます。

効果例2:顧客からの信頼やロイヤリティが高まる

一貫したブランド体験やメッセージを発信することで、顧客との信頼関係が深まり、ファンやリピーターが増えます。

効果例3:価格競争に巻き込まれにくくなる

自社の商品やサービスが、単なる価格やスペック比較だけではなく、「その企業だから選ぶ」という付加価値で選ばれるようになります。

効果例4:採用力や社員のエンゲージメントが向上する

ブランドの存在意義やビジョンが明確になることで、「ここで働きたい」「誇りを持って働ける」と感じる人材が増え、採用や定着率の向上につながります。

効果例5:メディアや社会からの注目を集めやすくなる

認知度やブランド価値が高まることで、ニュースやSNSなどで取り上げられる機会も増え、さらなる信頼や広がりが期待できます。

効果例6:企業の長期的な成長・価値向上に貢献する

短期的な成果だけでなく、中長期的に企業価値を高め、持続的な成長を支える土台となります

商品・サービスブランディングとの違い

企業ブランディングが「企業全体の価値」に焦点を当てることで、商品単体ではなく企業そのものの価値や姿勢、文化を発信し、長期的な信頼関係を築くことを目的としています。そのため、様々な施策を実施する場合は、企業が持つ様々な商品やサービスにも十分に配慮した上で、それらを包括する包容力や、良い意味での普遍性が重要となります。

 

一方で商品・サービスブランディングは、企業ブランディングのように様々な商品やサービスに対して配慮する必要性が少なく、特定の製品やサービスに焦点を当てることができるため、その魅力や世界観などの表現や訴求に制限なく注力することが可能となります。

インナーブランディングとの違い

企業ブランディングには「社外・社内に向けた発信」という側面がありますが、インナーブランディングはそのなかでも特に「従業員への内部浸透」に特化した施策です。

 

両者は対象やアプローチこそ異なるものの、完全に別物ではなく密接に関係しています。インナーブランディングによって社員がブランドの理念や価値観を深く理解し、それを行動として体現することが、企業ブランディングにおける企業の発信内容の信頼性や説得力につながります。

2. 企業ブランディングが注目されるようになった背景

企業ブランディングが重要視されるようになった背景には、消費者の価値観や情報行動の大きな変化があります。消費者がサービスや商品を検討する際、かつてはマスメディアによる一方向の広告が主流でしたが、インターネットやSNSの浸透により、自ら情報を調べ、企業や商品の評判を比較検討することが当たり前の時代となりました。

 

さらに、現代はあらゆる業界で製品やサービスの機能が成熟し、価格や品質だけでは他社と差別化しづらくなっています。こうした環境では、「その企業は何を大切にしているのか」「自分の価値観に合っているか」といった観点でブランドが選ばれる傾向が強まっているため、ブランド独自の「らしさ」や「存在意義」を確立することが、選ばれるための重要な要素となっています。

 

また、サステナビリティや社会貢献といった社会的責任への関心が高まっていることも、企業ブランディングが注目される理由のひとつです。消費者は「どの商品を買うか」だけでなく、「どの企業を支持し、応援するか」という視点を持ち、企業の理念や行動、イメージそのものが商品やサービスのブランド評価にも直結するようになっています。

 

このような変化のなかで、企業は単なる商品提供者にとどまらず、信念や価値を発信する存在として、戦略的にブランドを築く必要性に迫られているといえるでしょう。

3. 具体的な企業ブランディングの方法

効果的な企業ブランディングを行うには、事前の戦略設計が欠かせません。「誰に、何を、どう伝えるのか」を明確にし、ブランドの核となる要素を整理するステップを見ていきましょう。

ステップ1:ブランディングの目的や対象を明確にする

ブランディングの出発点は、「何のためにブランディングを行うのか」という目的を明らかにすることです。ブランドを通じて実現したい価値や変化、企業として届けたい想いや姿勢を明確にすることで、その後のターゲット設定やメッセージ設計に一貫性が生まれます。

 

目的が定まったうえで、次に重要なのが「誰に届けるか」の明確化です。ここでは、一般顧客だけでなく、社員や株主、パートナー企業といったステークホルダーも含めて捉えることが重要です。想定される顧客層を広く捉えるターゲットの設定に加え、より具体的な人物像としてのペルソナを描くことで、ブランドの伝え方がより具体的で説得力のあるものになります。年齢・性別・ライフスタイル・価値観・行動傾向などを丁寧に掘り下げることが効果的です。

 

社員やパートナー企業にとっては「共感や誇り」、株主にとっては「信頼や成長性」、顧客にとっては「共鳴や選ばれる理由」となるように、届ける相手ごとにブランドが果たすべき役割を整理しながら、対象を明確にしていくことが求められます。

 

近年ではSNSの影響力も大きく、共感した顧客の投稿がさらに多くの人を惹きつける好循環を生むことも少なくありません。ブランドの想いが深く届く相手を見極め、目的に基づいた設計を行うことが、強く広がるブランドをつくる鍵となります。

ステップ2:自社の強みや価値などの「独自性」を洗い出す

ブランドの軸を明確にするには、自社がもつ独自の強みを把握する必要があります。競合と似たような商品・サービスが多いなかで、「自社だからこそ提供できる価値」いわゆる他社にはない、他社と異なる「独自性」がブランドの核となります。

 

分析には、3C(自社・顧客・競合)やSWOT(強み・弱み・機会・脅威)などのフレームワークを活用することも有効ですが、より深く自社にしかない独自の強みや価値を把握するためにも、経営層だけでなく、現場スタッフや顧客、パートナー企業など多様な視点からヒアリングを行い、機能的価値と情緒的価値の両面を言語化することが重要です。

 

明文化された強みや価値などの「独自性」は、後のブランド・アイデンティティや施策全体において、長期的かつ強固な基盤となり、全てのレベルをアップさせます。

ステップ3:強みや価値など「独自性」を言語とビジュアルで表現する

ターゲットや自社の強みが明らかになったら、次に取り組むべきは「ブランドとしてどう見られたいか」、すなわち多くのステークホルダーに抱いていただきたい「見られたい姿(企業イメージ)」を明確にすることです。

 

このイメージを定めた上で、その方向性に沿って企業やサービスの“人格”や“立ち位置”を、言語とビジュアルの両面からかたちづくることが重要です。言語化によってブランドの価値やストーリーを一貫して伝えられる基盤が生まれ、ビジュアル化によってその世界観を直感的に感じてもらうことができます。

 

こうして構築された言語とビジュアルは、ブランドのすべての表現の土台となり、初期段階で明確にしておくことで、記憶への定着、共感の醸成、そして長期的な信頼の獲得へとつながります。言語化、ビジュアル化するべき内容の一例をまとめますので、参考にしてください。

言語化:ブランドの人格や価値を言葉で定義する

  • ブランドの使命や未来像、約束などの軸を明文化する
  • ブランドパーソナリティ(誠実・情熱的・知的・親しみやすい など)を言語で定義
  • ブランドの語り口(トーン&マナー)を明確にする(敬語・フランク・ユーモラス  など)
  • ステークホルダーとの関係性をどう築きたいかを整理する

ビジュアル化:ブランドの「らしさ」を視覚で統一する

  • ロゴ・タイポグラフィ:ブランドの個性を表現し、記憶に残る象徴をつくる
  • ブランドカラー:印象や感情を左右する重要要素。理念や価値観と結びつける
  • グラフィックモチーフ・写真トーン:ビジュアルの一貫性を保ち、世界観を補強する
  • コピー表現(タグライン・キャッチコピー):ブランドの想いを一言で伝える核となる言葉

ステップ4:顧客とのタッチポイントを設計する

ブランドがどのように顧客と接点を持つかを設計するのが、タッチポイントの検討です。タッチポイントとは、生活者がブランドに出会い、接触し、印象を形成するすべての場面を指します。

 

Webサイト、広告、SNS、店頭、パッケージ、接客対応など、その種類は多岐にわたります。それぞれの接点で、ブランド・アイデンティティに沿った体験が提供できるように、媒体の特性や対象ユーザーの行動パターンを考慮することが大切です。

 

たとえば、若年層がメインターゲットであれば、SNSでの自然なストーリーテリングが効果的かもしれません。全体を通して一貫したメッセージと印象を届けることが、ブランドの信頼構築につながります。

ステップ5:ブランディングの効果を可視化する

ブランディングは成果が見えづらい領域と思われがちですが、最初に明確にした「ブランディングの目的」を元に、適切なKPI(重要業績評価指標)を設定することで、取り組みの効果を可視化することが可能です。定量指標としては、「ブランド認知度」「SNSのエンゲージメント率」「NPS(顧客推奨度)」などが代表的です。加えて、「ブランドへの共感度」や「価値観の浸透度」といった定性評価も、アンケートやインタビューを通じて把握できます。

 

ただし、ブランディングの内容や目的によっては、成果の可視化が難しいケースもあります。特に「感情的な共感」や「ブランド信頼の醸成」などは短期的に数値化しにくい側面もあり、定性的なフィードバックや長期的な変化を追う必要があります。

 

そのため、指標は戦略立案の初期段階であらかじめ設定し、施策実行後には定期的にモニタリングして改善に活かすことが重要です。数値と感覚の両面からブランドの状態をとらえることで、評価の精度と説得力が高まり、ブランディングの成果を着実に積み上げていくことができます。

4. 企業ブランディング施策の具体例“14選”

戦略をもとに、どのような手段でブランドを伝えていくかを考えることが重要です。ここでは、実際に活用されている代表的なブランディング施策を具体例とともに紹介します。

施策例1:パーパス・企業理念の開発

パーパスや企業理念は、企業が「なぜ存在するのか」「どんな未来を目指すのか」を言葉で示す最も根幹的な要素です。経営層だけでなく社員全員が共有することで、意思決定や日々の行動に一貫性が生まれ、組織の結束力を高める役割を果たします。さらに、社外に対しても明確な存在意義を示すことができ、顧客や投資家、パートナーからの信頼獲得にも直結します。パーパスや理念の開発は、企業ブランド構築の土台となる重要なステップです。

施策例2:ブランドロゴ/シンボル・ブランドカラーの開発

ロゴやシンボル、カラーなどの要素は、企業の象徴として、一目でブランドを認識させる極めて重要なビジュアル要素です。単なるデザインではなく、ブランドの核となる存在として、ブランドの理念・価値・個性を視覚的に体現します。これらを新たに開発、もしくは刷新していくことは、視覚的な記号として言語を超えてブランドの印象を伝える手段となり、グローバル展開にも適しています。見る人に直感的に「そのブランドらしさ」を伝える役割を担い、記憶にも残りやすくなります。

施策例3:ブランドスローガン/キャッチコピーの開発

ブランドスローガンやキャッチコピーは、ブランドの魅力や価値を短く端的に伝える言葉です。印象的なフレーズは人々の記憶に残りやすく、商品名や企業名と強く結びつけられる効果があります。ブランドのコンセプトや強みを凝縮して表現するため、言葉選びには慎重さと創造性が求められます。完成したスローガンやコピーは、広告やWebサイト、パッケージなど多くの接点で活用でき、ブランドの認知度向上や共感の獲得に大きく貢献します。

施策例4:ブランドガイドライン/デザインマニュアルの開発

ロゴやシンボル、カラーなどの要素は、看板やWebサイト、パッケージ、パンフレット、ユニフォームなど、あらゆる接点で使用され、ブランドの統一感と印象の定着を強力に後押しします。しかし、このような役割を果たすためには、ブランドガイドラインにて使用ルール(カラー、サイズ、余白、禁止事項など)を明確に定め、あらゆる場面で適切に運用されることが不可欠です。統一された運用が、ブランド価値の信頼性と継続的な浸透を支えます。

施策例5:Webサイト/オウンドメディアの開発

企業のWebサイトは、ユーザーが最初に触れるブランド接点のひとつとして重要です。サービス情報や理念、採用情報などを分かりやすく発信することで、信頼感のあるブランドイメージを形成できます。加えて、オウンドメディアを通じて独自のコンテンツを発信すれば、価値観や専門性を伝える機会が増え、長期的な関係構築にもつながります。検索やSNSとの連携も図れるため、情報発信の拠点としてブランディングに大きく貢献します。

施策例6:ブランドムービーの開発

ブランドムービーは、企業や商品の世界観や価値を映像で伝える施策です。ストーリー性を持たせることで、ブランドの理念や魅力を直感的に伝え、視聴者の共感や感情を引き出します。テキストや写真では伝えきれない温度感や雰囲気を表現できるため、SNSでの拡散やファンの獲得にも効果的です。ブランドへの理解と好意を高めたい場合に有効な手法です。

施策例7:ブランドブックの開発

ブランドブックは、ブランドの理念やビジョン、デザインのルールなどを一冊にまとめた、ブランドを正しい方向に導くガイドブックです。社員がブランドの価値や方向性を正しく理解し、行動や表現に一貫性を持たせるために活用されます。

施策例8:オウンドメディアやSNSでの発信

オウンドメディアやSNSは、ブランドの考えや魅力を継続的に発信するための重要なチャネルです。自社で運営するメディアだからこそ、自由な表現が可能で、ブランドイメージを丁寧に育てることができます。記事や動画を通じて情報発信を重ねることで、ファンとの信頼関係を築きやすくなり、SNSでのシェアによって認知拡大も期待できます。ファンの定着や共感を得るために効果的な手段です。

施策例9:インフルエンサー・アンバサダーの活用

インフルエンサーやブランドアンバサダーを起用することで、企業発信では届きにくい層にブランドの魅力を伝えることができます。信頼されている第三者の発信は、ユーザーにとって身近で親しみやすく、共感を得やすいのが特徴です。選定時にはフォロワー数だけでなく、ブランドの価値観や世界観との相性を重視することが重要です。長期的な関係を築くことで、ブランドへの理解と愛着が深まり、継続的なブランディング効果が期待できます。

施策例10:店舗や空間デザインでの体験設計

ブランドの世界観を体験として伝える方法として、店舗やイベント空間の活用が注目されています。視覚や音、香り、接客といった五感に訴える空間設計は、ブランドの印象を記憶に残しやすく、顧客との関係性を深める手段となります。特に実店舗やポップアップなどの場では、ブランドの理念や背景を直感的に伝えやすく、共感の醸成やファンづくりに効果的です。初期段階のブランド構築にも有効なアプローチです。

施策例11:ノベルティ・パッケージデザインの開発

ノベルティやパッケージは、ブランドの第一印象を左右する重要な接点です。商品を手に取る瞬間や贈り物として受け取る場面で、「このブランドらしい」と感じてもらえるかどうかが鍵になります。単なる見た目の美しさだけでなく、ブランドの個性や背景が伝わるストーリー性を込めることで、記憶に残る体験を提供できます。ノベルティも、ターゲットのライフスタイルに合わせて設計すれば、共感や愛着を育むツールとして活用できます。

施策例12:キャラクター

ノベルティやパッケージは、ブランドの第一印象を左右する重要な接点です。商品を手に取る瞬間や贈り物として受け取る場面で、「このブランドらしい」と感じてもらえるかどうかが鍵になります。単なる見た目の美しさだけでなく、ブランドの個性や背景が伝わるストーリー性を込めることで、記憶に残る体験を提供できます。ノベルティも、ターゲットのライフスタイルに合わせて設計すれば、共感や愛着を育むツールとして活用できます。

施策例13:リアルイベント・セミナー

リアルやオンラインで開催されるイベントやセミナーも、ブランドの価値や世界観を体験してもらう有効な手段です。BtoCでは体験型イベントやコラボ企画、BtoBでは業界向けの勉強会やセミナーなどが代表例です。専門的な知見の発信や社員・代表者の登壇によって、企業の信頼性や専門性を印象づけることができます。継続的な開催により、「その分野といえばこの企業」というブランド認知の構築にもつながります。

施策例14:テレビCM

テレビCMは、信頼性の高い情報発信手段として、ブランディング施策に有効です。幅広い年代に一斉にリーチできるため、ブランドの認知度を一気に高めたい場面で活用されます。動画は視覚と聴覚に訴えることで情報の伝達力が高く、印象にも残りやすいのが特徴です。近年ではBtoB企業のテレビCMも増えており、企業姿勢やビジョンを伝えることで、社会的な信頼やブランドイメージの向上につなげています。

5. 企業ブランディングの成功事例“4選”

最後に、企業ブランディングの成功事例としてエフインクがサポートさせていただいた実際の事例をご紹介します。

事例1:インターネット・ビジネス・フロンティア株式会社

EC支援を20年続けてきたIBFは、節目の年に「BRAND NEW FRONTIER PROJECT」と題した全社的なリブランディングを実施。社名にもある「フロンティア」をキーワードに、「次のフロンティアをみんなで切り拓こう」というメッセージを掲げ、全社員が自分事として理念づくりに関わる仕掛けを設計しました。

 

全5回のワークショップを通じて、IBFの強みや個性をあらゆる角度から掘り下げた結果、共通する価値観として「循環」「幸せ(ハッピー)」が浮かび上がり、それをもとにブランドパーパス「幸せが循環する世界を切り拓く」が誕生。さらに、価値観や行動指針も定義し、ブランドとしての核を明確にしました。

その後、プロジェクト名でもあった「BRAND NEW FRONTIER」は、後にブランドスローガンとしても昇華され、社内外への意思表示として幅広く活用。訴求力のあるメッセージ表現へと発展しました。また、新たなコーポレートロゴでは、「IBF&Partners」「Client」「Consumer」の3者をつなぐ3つの円を配置し、伴走者としての姿勢とフロンティア精神を視覚化。ブランドカラー「IBF RED」には、人間らしい感受性や創造力、行動力を象徴する意味が込められています。

 

リニューアルしたコーポレートサイトでは、企業理念とサービスを有機的に構造化し、IBFの考え方と価値が伝わる設計に。結果として、WEBからの問い合わせは数倍に増加し、社員のエンゲージメント向上にもつながる好事例となりました。

事例2:大成温調株式会社

大成温調は、創業80年の歴史を持つ総合設備企業。これまで空調や給排水、電気、省エネなど幅広い設備を手がけ、「お客さま第一」で信頼を築いてきました。ただ、これからは建物全体を見渡し、自ら新しい価値を生み出していく企業へと進化する必要がありました。

 

そこでエフインクとともに進めたのが、ブランドの再構築です。社名はそのままに、新しいコーポレートブランド「LIVZON(リブゾン)」を発表。「たてものを、いきものに。」というステートメントには、建物に命を吹き込み、人々にとって快適で豊かな空間をつくり出す思いが込められています。ブランド名も「LIVE × ZONE」の組み合わせで、“空間を生きたものにする”という意味を持たせました。

デザイン面では、空気や水の流れを感じさせる柔らかなラインのロゴを開発。Webサイトでは現場の物語を紹介する「LIVZON STORY」を展開し、映像や会社案内、工事経歴書などのツールも一新しました。発表のタイミングを合わせることで、内外にわかりやすく強い印象を与えることにも成功しています。

 

この取り組みを通じて、同社は「総合たてものサービス企業」としての方向性を明確にし、サービスの幅を広げながら競争力を高めています。さらに、社員の働きがい向上や企業としての存在感アップにもつながり、LIVZONは新しい挑戦を象徴するブランドとして息づき始めています。

事例3:明和地所株式会社

CLIOマンションの開発・分譲事業をはじめ、不動産売買・賃貸仲介、リノベーション事業、ウェルスソリューション事業、不動産管理事業など、多岐にわたる不動産事業を展開する明和地所グループは、創業30周年を機に、社内外の価値観を見つめ直すリブランディングに着手。従来のトップダウン型組織から脱却し、社員の声を反映したボトムアップ型のブランド構築を目指して、部門・年齢を越えた15名による全8回のワークショップを開催。自由な対話を通じて、会社としての「あるべき姿」と向き合うプロセスを重ねました。

 

そのなかで生まれた意見やキーワードをもとに、「想いをかなえ、時をかなでる。」というブランドステートメントを軸に企業理念を再定義。この言葉には、住まいを通じて信頼と共感を育み、人々の人生に寄り添い続けるという企業の決意が込められています。

さらに、6年後の2020年には、新たに加わった社員にも理念を伝えるため「アクションポリシー」を策定。理念の体現を促すために、日常的に目に触れるポスターやカード、シールなどの浸透ツールも開発しました。企業理念と行動指針が連動することで、社員からは「理念がより理解しやすくなり、自分の行動に落とし込みやすくなった」との声も上がっています。

 

こうした一連の取り組みを通じて、社員の自発的な行動が促され、組織内のシナジー強化につながっただけでなく、供給戸数の増加や事業拡大といった具体的な成果にも結びついており、ブランド変革が企業成長の原動力となった好例といえるでしょう。

事例4:日進工具株式会社

日進工具は、超硬小径エンドミルで世界トップシェアを持つメーカーです。2017年の東証二部上場に向けて、エフインクと一緒に企業ブランディングを本格的にスタートしました。そこで新たに掲げた“「つくる」の先をつくる。”というブランドステートメントは、モノづくりを支える誇りや挑戦する姿勢を、わかりやすく社内外に伝えるための旗印となりました。

 

当時の課題は、なぜ同社が圧倒的な精度を実現できるのか、社会にどんな役割を果たしているのかが言葉になっておらず、十分に共有されていなかったこと。そこでステートメントを軸に、デザインや言葉づかいを“人間味×洗練”で統一し、ブランド体験を一つの世界観で届ける仕組みを整えていきました。

 

さらには、工場のサインや見学導線、展示会(JIMTOF)の空間演出、ブランドサイトや映像、ブランドブック、広告や株主優待に至るまで一貫して設計。たとえば仙台工場では、工程や強みを棚卸しして見学用パネルや映像に落とし込み、展示会では白を基調としたシンプルで洗練された空間で世界観を発信しました。ブランドサイトでは「50のこだわり」連載を通じて、一般の方や学生にも分かりやすく会社の魅力を伝えています。

また、ロゴ表記を「NS TOOL」に統一し、ブランドカラーはオレンジに設定。1:10比で設計した「リンケージライン」など、精密さと温かみを同時に表現する仕掛けも盛り込みました。新聞広告や子どもが描いた未来ポスターなども連動させ、体験としてブランドを広げています。

 

その結果、翌年には東証一部上場を果たし、株価はプロジェクト開始時の3倍超に。社内の一体感も高まり、業界内外から注目を集める存在へと進化しました。ブランディングが企業価値を押し上げた好例といえるでしょう。

さいごに:ブランドの価値を伝えるために、今こそ戦略的な一歩を

この記事では、ブランディングの基本から種類、戦略設計の方法、そして具体的な施策例までを体系的に解説しました。ブランディングは、単に目立つ見た目を整えるだけではなく、企業の理念や価値を明確にし、顧客や社会との持続的な関係を築くための本質的な活動です。その実現には、構造化された戦略と、社内外への一貫したメッセージ発信が求められます。

 

特に、ブランドを中長期的に育てていきたい企業にとっては、理念の言語化から各種施策の実行・改善まで、継続的に寄り添えるパートナーの存在が重要です。

 

エフインクでは、企業の想いや強みを丁寧に掘り下げ、理念設計から体験デザイン、ブランドの成長支援まで一貫して対応。業界を問わず多くの企業と向き合ってきた知見を活かし、共感されるブランドづくりをサポートします。「自社らしさを言語化し、持続的に成長するブランドを構築したい」とお考えの方は、ぜひ一度、エフインクへご相談ください。

記事に関連する「ブランディング事例」のご紹介

エフインクWEBサイトにて、ブランディング事例を多数ご紹介しております。記事と合わせてぜひご覧下さい。

記事のシェア

もっとブランディングを
知りたい方へ

30年・300プロジェクト以上の豊富な
経験から培ったブランディングの進め方や、
詳細なCASE STUDYを
ご紹介しています。

Omtogel