商品があふれ、機能や価格だけでは差別化が難しくなるなか、「いい商品なのに選ばれない」「魅力がうまく伝わらない」と悩む企業は少なくありません。
こうした状況を打破する鍵となるのが「商品ブランディング」です。本記事では、商品ブランディングの考え方から進め方、成功につながる設計のポイントや事例までをわかりやすく解説します。
ブランディングをひもとくメディア

大規模商業施設やリゾートホテルをはじめ、企業やカフェなど幅広いジャンルの案件に対し多岐にわたりブランディングを推進。『脳みそから血が出るくらい考えているか』を常に自分に問いただしながら、クライアントさえ気づけていないブランドの進むべき道や可能性、デザイン表現をご提案できるよう日々挑戦中。
商品があふれ、機能や価格だけでは差別化が難しくなるなか、「いい商品なのに選ばれない」「魅力がうまく伝わらない」と悩む企業は少なくありません。
こうした状況を打破する鍵となるのが「商品ブランディング」です。本記事では、商品ブランディングの考え方から進め方、成功につながる設計のポイントや事例までをわかりやすく解説します。
1. 商品ブランディングの目的とは?
2. 商品ブランディングのメリット
3. 商品ブランディングの進め方
4. 商品ブランディングの注意点
5. 商品ブランディングの成功事例
6. 商品ブランディングのよくある質問

ここでは、商品ブランディングの定義や企業ブランディングとの違いについて解説します。まずは、基本的な考え方について理解しましょう。
商品ブランディングとは、「この商品をなぜ選ぶのか」という判断理由を、体験として構造化する取り組みを指し、単に機能や価格、スペックを伝える活動ではなく、商品がもたらす価値や姿勢、考え方までを含めて一貫した体験として設計し、選ばれやすい状態をつくることが目的です。
これは、菓子や化粧品、日用品、お土産、工業製品などに限らず、あらゆる商品に共通して応用できる考え方です。
また、生活者が商品を選ぶ際の判断軸は、情報の多さなどだけではなく、「自分にとってどんな良い状態が得られるか」という便益にあります。
商品ブランディングでは、誰のどんな迷いや不安を、どのようなよい状態へ導く商品なのかを整理し、その背景にある思想や強みを商品固有のDNAとして言語化することが重要です。
商品ブランディングと企業ブランディングは、企業ブランディングが信頼の土台を築く役割を担うのに対し、商品ブランディングは、その土台の上で実際に選ばれる理由を具体的な商品体験として設計する点に違いがあります。
ただし、両者は独立した施策ではなく、企業のDNAやPURPOSE(存在意義)が商品ブランディングの思想の根幹となり、商品で生まれた良質な体験が企業ブランドへの信頼を強める関係にあります。この連動によって、ブランド全体の一貫性と選ばれ続ける構造が形成されます。

商品ブランディングに取り組むことで、価格競争から抜け出し、指名で選ばれる状態をつくれます。ここでは具体的な効果やメリットを解説します。
商品ブランディングが機能すると、価格やスペックの比較だけで選ばれる状態から、「この商品だから選びたい」という理由で選ばれる状態へと変わります。
商品の便益や思想、姿勢が体験として一貫して伝わることで、生活者は「安いから」ではなく、「自分に合っているから」「この考え方に共感できるから」という理由で商品を選ぶようになります。
結果として、価格競争に巻き込まれにくく、長期的に選ばれる土台が形成されます。
商品に限らず、機能やスペックが似通う市場では、比較情報が多すぎることで、かえって判断が難しくなりがちです。
商品ブランディングでは、「誰のどんな迷いを解消する商品なのか」という便益の軸を明確にするため、生活者は自分に必要かどうかを直感的に判断しやすくなるため、迷いが減り購入までの時間が短縮され、納得感を持って選ばれる状態につながります。
生活者は、単なる機能の良し悪しよりも、「なぜその商品を使っているのか」という理由や背景を含めて人に伝えたくなります。
商品ブランディングによって思想や姿勢、ストーリーが整理されていると、体験の中に語る理由が生まれ、共感を伴った口コミが広がりやすくなるため、広告に頼らずとも、生活者自身がブランドの担い手となる状態をつくることにつながります。
一貫した体験設計がある商品は、「買って終わり」ではなく、「使い続けたい」「また選びたい」という感情を育てやすくなります。
商品を通して得られる安心感や納得感、共感が積み重なることで、再購入や紹介といった行動につながり、関係性が深まっていきます。結果として、短期的な獲得だけでなく、長期的なファンづくりの基盤が整います。
商品のDNAやPURPOSEが明確になると、社内での企画・開発・販促の判断基準が共有されます。
「この商品らしいか」「この便益につながるか」という共通の判断軸が生まれることで、部門ごとのばらつきが減り、施策や表現に一貫性が出ます。これにより、個人の感覚や経験だけに依存しない統一された商品づくりが可能になります。

商品ブランディングは感覚論ではなく、「選ばれる理由」を構造として設計していくプロセスが必要です。ここでは、わたしたちエフインクの「DNA」を起点としたブランディング思想に基づき、価値設計から体験化、進化までの流れを整理します。
商品ブランディングの起点は、その商品がもともと持っている思想や背景、強みを整理することからはじまります。
なぜこの商品は生まれたのか、どんな想いを伝えたいのか、どんな課題意識から企画されたのか、どんな技術やこだわりが込められているのかといった本質的な動機となる要素を掘り下げ、商品固有の「DNA」として言語化します。
エフインクでは、「DNA」を整理する際に「オリジン・ヒストリー・カルチャー・ファンクション・ユニーク・イノベイティブ」という6つの視点を用いて、商品が持つ思想や強みを立体的に整理します。
この工程によって、「何ができる商品か」ではなく、「なぜこの商品である必要があるのか」という根拠が明確になります。
次に行うのが、商品が向き合う相手と、その人が抱えている迷いや不安、欲求を具体化する工程です。
年齢や性別といった属性ではなく、「どんな場面で、どんな気持ちになり、何に迷っているか」まで踏み込んで整理します。
この工程で「誰にとって、どんなよい状態をつくる商品なのか」という便益の軸が定まり、以降の設計すべての判断基準になります。商品が解決すべき迷いが明確になることで、選ばれる理由を構造として設計しやすくなります。
次にDNAと便益の軸をもとに、商品単位のPURPOSE(存在意義)を言語化します。商品のPURPOSEとは、「この商品は、どんな姿勢で、どんな未来をつくりたいのか」を示す存在意義であり、社内外に向けた共通の指針となります。
企業全体のPURPOSEと思想を共有しつつ、商品単位での役割や姿勢を明確にするために、商品固有のPURPOSEを言語化してください。PURPOSEが定まることで、企画・開発・販促の方向性がそろい、「この商品らしいかどうか」という判断がしやすくなります。
また、生活者にとっても、その商品がどんな考え方で自分に向き合っているかが伝わりやすくなり、選ぶ理由として機能します。
PURPOSEをもとに、商品がどんな印象を持たれる存在であるべきかを、言語と視覚の両面から設計します。
商品コンセプト、ネーミング、コピーなどの言語要素と、ロゴ、カラー、パッケージ、ビジュアルトーンといった視覚要素を一貫した世界観で整えます。
このIDENTITYが定まることで、表現の方向性に迷いがなくなり、どの接点でも「この商品らしさ」が同じトーンで伝わる状態をつくれます。
パッケージ、売り場、Web、EC、アプリ、使用シーンなど、生活者が商品と接するすべての場面を洗い出し、それぞれでどんな体験を届けるべきかを設計します。
商品のPURPOSEやIDENTITYが、購入前・購入時・使用時の体験のなかに自然に組み込まれることで、生活者は安心感や納得感を持って商品と向き合えるようになります。どの接点でも一貫した価値観が伝わる状態をつくることが重要です。
設計した価値や体験が現場で再現されなければ、商品ブランディングは機能しません。
商品のPURPOSEや判断軸を企画・開発・営業・販促など関係部門に共有し、日々の業務のなかで自然に使われる状態をつくります。
この工程によって、担当者が変わっても「この商品らしさ」が再現される構造が整い、商品ブランディングが一過性の施策で終わらなくなります。
商品ブランディングは、発売した時点で完結する取り組みではありません。売上・レビュー・問い合わせ内容などの市場の反応をもとに、体験や表現のズレを検証し、改善を重ねていきます。
商品を「完成品」ではなく「育て続けるブランド資産」として捉え、生活者や社会の変化に合わせて進化させ続けることで、商品は選ばれ続ける存在へと育っていきます。

見た目だけを整えても、選ばれる商品にはなりません。ここでは失敗しやすいポイントと、注意すべき設計上の落とし穴を解説します。
ロゴやパッケージ、ビジュアルだけを刷新しても、商品が提供している便益や思想、体験の構造が変わらなければ、選ばれ方は変わりません。
「何のための商品なのか」「誰の迷いをどう解消するのか」といった核の設計が変わらないままでは、見た目だけを変えても比較される土俵は同じままです。
商品ブランディングでは、表現よりも先に、構造そのものを組み替える視点が欠かせません。
広告やコピーで価値を「伝える」だけでは、必ずしも生活者に「伝わる」状態にはなりません。便益や思想が、商品体験・売り場・UI・使い心地などの中に組み込まれていなければ、言葉は表層的な説明で終わります。
伝える活動と同時に、体験の中に価値が自然と滲み出る構造をつくることが重要になります。
「30代女性」「共働き世帯」といった属性だけの設定では、商品が本当に解決すべき迷いや欲求が見えにくくなります。
商品ブランディングでは、どんな場面で、どんな気持ちになり、何に迷っているかまで具体化することで、便益や体験設計の精度が大きく変わります。
ターゲットが曖昧なまま進めると、誰にも深く届かない商品になりやすくなります。

商品ブランディングによって、選ばれ方が変わった実例を紹介します。価値設計がどのように成果へつながったかを解説します。ここでは、その一例としてエフインクが支援した事例をご紹介します。


世界で初めて化粧用コットンを生み出した「資生堂 ザ・ギンザ」は、新たに最高品質コットンの開発に挑戦しました。
課題は、「好みの使用感で自由に選ぶコットン」という新しい選び方をどう伝えるか。エフインクは、コットンを一枚ずつ個包装する体験設計や、4種の質感を楽しめるアソート商品を提案し、開封から使用までを一連のブランド体験として設計しました。
その結果、商品は「究極のプレミアムコットン」として高く評価され、訪日外国人向けの専門店舗も開設。商品価値を五感で体験できる空間づくりにより、世界に向けた新たなブランド展開を実現しました。


良質な原料を世界中から集め、手作りコスメを提案する「monday moon」は、コアなリピーター中心のブランドから、より多くの生活者に届く存在への転換を目指しました。
課題は、1,000点を超える商品群の分かりづらさと、新規顧客への伝達力の弱さでした。そこで、エフインクは商品体系やネーミングを再構築し、「手のひらコスメ」という新たな概念を開発。初心者でも一滴混ぜるだけで体験できる世界観を設計しました。
ECサイトやオウンドメディア、ブランドシンボルまで一貫して再設計した結果、素材ブランドからライフスタイル提案ブランドへと進化し、共感とファン化を促す商品ブランディングを実現しました。

商品ブランディングについて、よくある疑問や不安をQ&A形式で整理しました。導入前の判断材料としてご活用ください。
Q1. 商品ブランディングとは何ですか?
A. 商品ブランディングとは、商品を「売りやすく見せる活動」ではなく、「誰の、どんな迷いを、どんな姿勢で解消する商品か」を構造として設計し、その価値を体験として届ける取り組みです。機能や価格の差ではなく、便益・思想・世界観・体験を一貫して整えることで、「この商品だから選びたい」という理由が生まれる状態をつくることができます。
Q2. 差別化で重要なポイントは何ですか?
A. 重要なのは、機能や性能の違いだけで差別化しないことです。どんな人の、どんな迷いに向き合い、どんな価値観で応える商品なのかという「姿勢」まで含めて設計することで、生活者にとって“自分に合う商品”として認識されるようになります。この軸があると、比較対象ではなく、指名で選ばれる存在になりやすくなります。
Q3. ブランディング会社にはいつ相談すべきですか?
A. 一般的には、以下のようなタイミングがブランディング会社に相談する目安になります。
これらに当てはまる場合、構造から整理することで、商品が「選ばれ続ける理由」をつくりやすくなるでしょう。
商品ブランディングは、機能や価格では伝えきれない価値を「体験」というかたちで可視化し、選ばれ続ける構造へと育てていく取り組みです。商品のDNAや志を明確にし、誰が触れても同じ世界観と理由で選ばれる状態をつくることで、商品は単なるモノから「意味を持つブランド」へと進化します。
エフインクでは、DNAの再定義からPURPOSE策定、IDENTITY開発、ブランド体験設計、発売後の進化支援までを一貫してサポートしています。
「価格競争から抜け出したい」「指名で選ばれる商品をつくりたい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
30年・300プロジェクト以上の豊富な
経験から培ったブランディングの進め方や、
詳細なCASE STUDYを
ご紹介しています。
「ブランディング」とはなんだろう?
知られていない魅力を伝えるための活動、
あるいは、見据える未来像をはっきりさせる作業。
携わる人たちが持つ技術やプロジェクトにかける思いが、
アウトプットへと結集していきます。
一言では説明できないからこそ、
そのプロセスは普段語られる機会があまりありません。
アウトプットが物語ることの素晴らしさを大切にしながらも、
「ブランディング」が持つ多様な側面を伝えたい。
FuFuFu Laboは、プロジェクトの背景とブランディングの
基礎知識の両面から、ブランディングをひもとくメディアです。