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2024年01月12日

「ブランドネーミング」開発の流れや考え方、大切にする思いとは?

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記事を書いた人

ブランディングプランナー

大学卒業後、不動産会社勤務を経て2018年エフインク入社。プロジェクトでは主に企画設計・コンセプト開発・コピーライティング・進行管理などを担当。ブランドの想いをお客さまとともに紐解き、可視化し、社会へと届けることがなによりの喜び。

1. はじめに

会社や商品・サービスなど、新しいブランドを立ち上げる際に重要となる「ネーミング」。プロジェクトの工程の中でも、お客様・エフインクともに熱が入るポイントのひとつです。

 

良いネーミングの条件とは?愛されるネーミングを生み出すためのコツとは?さまざまなブランドのネーミング開発を担当してきたエフインクスタッフの萩原に、ネーミング開発への思いをインタビューしました。

バックオフィス担当

CI会社を経て代表の萩原房史と共に1990年エフインク設立。以来人事・経理・総務などを担当。 会社を営んでいた父より「会社は人なり」と教えを受け20〜30年掛けて自分らしく導き出した思い「スタッフとその子どもたちの幸せを第一に考え判断する」が経営信念。

2. ネーミングを考えるときに大切にしていることは?

人もペットもその命が誕生した際、名前が付けられます。とりわけ日本においてはこれを「命名」と呼び、昔から大変重んじられています。

 

私がネーミングのお仕事に取り組む際も、「新しい命に名前をつける」という気持ちで取り組んでいます。わが子の名前を考える時と同じくらいに、願いのこもったたくさんの名前を試行錯誤します。新しい命が多くの人に愛されていく様子、そして何度も何度も繰り返し呼ばれる響きを思い描きながら、ブランドに込められた想いにピッタリと合った、愛情あふれる名前をつけることを心がけています。

3. 具体的にどのようにネーミングを開発するのですか?

① ヒアリング

ネーミング開発にあたっては、まずお客様に対してさまざまなヒアリングを行います。

・ネーミングにどんな思いを込めたいですか?

・一番打ち出したい特徴は何ですか?

・ターゲットはどのような方ですか?

など、出来る限り詳しくお話をしていただき、私自身がブランドのことをしっかり理解したうえで、ネーミングが与えるイメージの方向性や、検討の条件を絞っていきます。

② 商標登録の必要性について確認

ネーミングを商標申請するかどうかをお客様と確認します。ブランドの立ち上げ時点では、商標申請のことまで意識されていないお客様が多いのですが、無用なトラブルを避けて安心してブランドを育てていただくためにも、ビジネスで使用するネーミングであれば、特別な理由がない限り商標申請することをおすすめしています。商標申請を行う場合は、早めに弁理士と連携し、できるだけ短期間で申請〜登録まで進行できるよう準備します。

③ 事前調査

類似のネーミングを避けるために、開発を進行する前に既存の競合ブランドのネーミングをあらかじめ調査します。また、商業施設など建物のネーミングを考える場合など、場所が大きく影響してくる際は、基本的に現地を視察し、その場所の文化や歴史、地域にお住まいの方の雰囲気や空気感などをインプットし、ネーミングのアイデアに反映します。

④ ワクワクと苦悩のアイディア出し

ここからが本番です。ブランドの特徴・呼びやすさ・シンボルロゴになったときの見え方などを想定しながら、ネーミングのアイデアをたくさん生み出します。

 

多くの場合、狙いたいのは「できるだけ短く・誰もが読みやすく・キャッチーで覚えやすい」ネーミングです。しかし、3文字や4文字など、文字数が少なければ少ないほど、すでに使われているネーミングである可能性が高いということ。考えたネーミングは、特許庁の商標簡易調査サイトで類似のネーミングがないかをチェックするのですが、どれだけ良いネーミングをたくさん考えても、その半分以上に対して類似のネーミングが既に存在しており、がっかりすることも。

 

世の中に存在しない新たなネーミングを考え出すわけですから、既成概念を超えるアイデアが求められます。私にとっては、頭を悩ませ、商標チェックをして一喜一憂しながらも、ワクワクしながらネーミングを生み出している時こそが楽しい瞬間なのかもしれません。楽しまなければ、良いネーミングは思い浮かびません。

⑤ 念には念を入れてチェック

商標の簡易調査をクリアしたら、念の為Google検索でもネーミングをチェックします。商標調査では出てこなくても、既に世の中に知れ渡っている同じネーミングのブランドが存在していたり、公序良俗に反するブランドのネーミングとして使用されているなどの場合には、残念ですが候補から除外します。

⑥ お客さまへのプレゼンテーション

ネーミングの考え方や方向性に分類し、お客様に分かりやすい形でご提示します。多くの場合は、まず数十案をご提示してお客様とご協議し、候補を数案まで絞ります。その後、商品パッケージ・パンフレット・WEBサイトなど、実際のデザインに反映した展開イメージなどをご提示し、最終的に1案を選んでいただき、ブランドの思いのこもった、たった1つの新しいネーミングの誕生です。(商標登録の可能性によっては、あらかじめ2〜3案を申請し、商標が登録できたネーミングを優先して採用する場合もあります。)

4. 「いいネーミング」とは?

あくまで私の考えになりますが、どなたでも読みやすく、覚えやすい。さらに、実はキーワードが隠されていて「なるほど!」「お~!」となるネーミングです。そして、なによりもコンセプトをきちんと表せていることが「いいネーミング」だと考えています。そのようなネーミングを生み出すのは、とても難しいことです。しかし、つい感心してしまうようなネーミングは、単純に覚えやすいだけでなく、心に響き、胸が温かくなります。

 

そのブランドの名前を見た人・聞いた人の心を少しでも揺さぶるような、体験としてしっかり心に響くネーミングの開発を目指したいと思っています。

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