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2024年06月21日

なぜブランディングには「ブランドコンセプト」が必要なのか?役割やメリットをご紹介

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記事を書いた人

ブランディングディレクター

大規模商業施設やリゾートホテルをはじめ、企業やカフェなど幅広いジャンルの案件に対し多岐にわたりブランディングを推進。『脳みそから血が出るくらい考えているか』を常に自分に問いただしながら、クライアントさえ気づけていないブランドの進むべき道や可能性、デザイン表現をご提案できるよう日々挑戦中。

1. 「ブランドコンセプト」とは?

特にサービスブランドや商品ブランドでよく目にする「ブランドコンセプト」。ブランディングを進行する上では欠かせない、ブランドの核である「ブランドコンセプト」ですが、どのような定義なのか?どのようなメリットがあるのか?どのようにまとめればいいのか?など、正直よくわからないという方は多いのではないでしょうか?

 

そこで今回は、数多くのブランドの「ブランドコンセプト」を構築してきたブランディングディレクターが、実際の「ブランディング事例」を織り交ぜながら、役割やメリットなどをご紹介いたします。

記事に関連する「ブランディング事例」のご紹介

エフインクWEBサイトにて、「ブランディング事例」を多数ご紹介しております。記事と合わせてぜひご覧下さい。

2. 「ブランドコンセプト」の具体的な役割とは?

「ブランドコンセプト」は今後のブランド活動全ての指針です。そのため、ブランドに携わる開発者側は、「ブランド名」や「ブランドロゴ」をはじめ、「ブランドカラー」や使用する「フォント」「写真・イラスト」「デザインのトーン&マナー」など、ブランドに関する全てを『ブランドコンセプトにふさわしいか』照らし合わせながら開発していくことになります。もちろん、お客さまや社会に対しても発信しますので、「共感」を獲得した後「選んでいただけるか」どうかを左右する重要な要素でもあります。

ブランドコンセプト

ブランドが、お客さまや社会に対して「果たすべき使命」や「社会的責任」、「どのような価値を提供するのか」「得られるメリット」「ブランドにふさわしい言葉や表現」などをわかりやすく伝えていくために、ブランドが発する言葉や表現、プロモーションや展開など、すべてのブランド施策の核であり、指針となる「ブランド価値」や「ブランドらしさ」を言語化し、端的に表現したもの。

長期的にブランドの核となる非常に重要な要素のため、どのようなブランディングにおいても、必ずプロジェクトの早い段階で開発します。

3. 「ブランドコンセプト」の具体的なメリットと魅力とは?

膨大な数の企業や商品、サービスなどのブランドがある今、他社との多少の違いだけでは、顧客に見つけてもらうことも、選んでもらうことも難しい。そんな状況で、ロゴや商品をかっこよく見せたり、ちょっと機能をよくするだけでは不十分です。それよりも『私はこういう想いでつくっています』とか『私のいいところはここ!』など「ブランドが持つ価値」を、商品やサービス、WEBサイトなど、ブランドと社会との全てのタッチポイントで、声高々に「ブランド価値を正しく社会に伝え続ける」ということが必要です。

 

このような状況から、より一層「ブランドコンセプト」の重要性が高まっています。では、「ブランドコンセプト」を開発することの具体的なメリットはなんでしょうか?いくつか代表的なメリットをまとめてみました。

3-1. お客さまや社会との「共感」を生み出すことができる

膨大な数の企業や商品、サービスなどのブランドがある今、じっくりと一つのブランドを見ていただく時間も機会も減少しています。さらには、お客さまや社会が商品やサービスなどを選ぶ基準として『どのような社会課題を解決するか』『どのような想いやストーリー、歴史、経緯から派生したものか』というブランドの根源的な想いや意識などに対して「共感できるか」を重要視される方が年々増えています。そして、それらを伝えるのに最も適しているのが「ブランドコンセプト」です。

 

もちろん、ブランドを選ぶ際に「ブランドコンセプト」だけを見て判断するということは少なく、ブランドに関するデザインや写真、WEBサイト、パンフレットなど、様々な要素を見た上で判断されることがほとんどですが、お客さまや社会との一瞬の接点の中で瞬時に「ブランドが持つ価値」を伝えることができ、「共感」を生み出せる優れた「ブランドコンセプト」があることは、「選ばれるブランド」への一番の近道になります。

3-2. 統一感と独自性がある「魅力的なブランド展開」ができる

ブランドが成長すればするほど、ブランドに携わる関係者の数やブランドに関連するアイテムや広報ツールなどの数も増大します。スピード感も求められるため、ついブランドの要素を雑に扱ってしまったり、ブランドへの理解ができていない方が意図しない使用をするなど、さまざまな要因で少しずつブランドを管理しきれなくなり、同じブランドなのに方向性が全く異なる商品が存在したり、チャネルやターゲットごとにブランドのイメージが異なったりするリスクが生じます。

 

その結果、しまいには正しく「ブランド価値」を伝えきれなくなり、「選ばれない」ブランドへとなってしまいます。全ての関係者が同じレイヤーでブランドを理解し、運用していける優れた「ブランドコンセプト」があることで、そのようなリスクを最小限に抑え、統一感と独自性がある「選ばれるブランド」となることができます。

3-3. 投資とリソースを「最大限効率化」できる

企業やブランドの持っているリソースには限りがあるため、リソースを効率よくブランドに投資していかなければ「選ばれるブランド」となることはできません。そのためにも優れた「ブランドコンセプト」を開発し、リソースの効率を高め、投資のスピードをあげることが不可欠です。

 

優れた「ブランドコンセプト」があることにより、様々なレベルのスタッフにおいても業務での判断基準が明確になるため、各個人が何をするべきか、何がブランドにとって相応しいのかが明確かつ具体的になります。それらは効率性やスピード感に繋がり、限られたリソースでも最大限のパフォーマンス発揮に繋がります。

3-4. 「成長し続けるブランド」へと進化できる

「ブランドコンセプト」に沿った活動を続けることにより、やがてブランドに相応しい考え方や行動が「習慣化」し、より深い「ブランドへの理解」に繋がり、月日とともに各個人のパフォーマンスの質も向上します。それらの好循環はブランドの成長を後押しし、「成長し続けるブランド」へと進化し、お客さまや社会から「選ばれ続ける」ことに繋がります。

4. 基本構成は「キャッチコピー」と「ボディコピー」

「ブランドコンセプト」は、「ブランドの価値」をギュッと凝縮して短いフレーズにまとめた「キャッチコピー」と、キャッチコピーでは説明しきれないブランドの想いや背景などをある程度のボリューム感で伝える「ボディコピー」の2つで多くの場合構成されています。最も多くの場面で使用し、ブランドの象徴となるのが「キャッチコピー」の役割。ですが、伝えられる要素は少ないため、しっかりと補足する役割を「ボディコピー」が担います。

しかし、場合によっては「キャッチコピー」と「ボディコピー」だけでは、対象者の理解度や伝えたい深さによって内容を変えたり、より詳しくした方が良い場合もあります。そのような場合には「ブランドコンセプト」を要素別に説明する構成とする場合もあります。上図の事例は、エフインクがサポートした「ENEOS EneJet」のブランドコンセプトですが、キャッチコピーの「Smart & Convenient」のそれぞれの単語が示す内容を要素別に詳しく補足することで、誰もが同じレイヤーで理解をできるよう構成しております。

5. 優れた「ブランドコンセプト」開発のポイント

膨大な数の企業や商品、サービスなどのブランドがある今、他と全く異なることを表現・実行しようとするのは非常に難しいです。そのため、この「ブランドだからこそできること」として自社の様々な誇れる強みを客観的な視点から見出し、それらを掛け合わせた上で最大限伸ばしたものこそが、お客さまや社会から「選ばれる」独自の「ブランド価値」であると考えています。

 

第一歩として「ブランドだからこそできること」を見出すために必要な視点や組み立て方を、図説と合わせてご紹介いたします。

5-1. ブランドの現状分析・把握

これまでのブランドの歴史を振り返ることや、調査やマーケット分析などによって、市場におけるポジションや、強み、弱み、競合の状況といった現状を把握します。その上で、図説にある様々な要素に分解して整理することで「ブランド価値」や「ブランドだからこそできること」を見出し、「開発するべきブランドの姿」を明確にするための土台となる要素です。

5-2. Functional Value(機能的価値)

機能の良さやデザイン、素材、価格、流通など、ブランドの機能的な強みに伴う提供価値と、それらを実現できている理由などを見出していきます。

5-3. Emotional Value(情緒的価値)

ブランドを通じてお客さまや社会がどのような状態になっていただきたいか、どのような情緒的価値を提供できるのかなどを、それらを実現できている理由と合わせて見出していきます。

5-4. Personality(ブランドの人格)

ブランドの人格や、ブランドに相応しい表現のトーン&マナー、ブランドを語るストーリーなどが含まれます。ブランドの特徴や歴史、背景、そこに込めた想いなどは、独自の「ブランド価値」に裏付けや説得力を与えることができるため、お客さまや社会との「共感」につながる非常に重要な要素です。

5-5. Target / Touch Point / Positioning

ブランドがどのような社会課題の解消につながるのか、ニーズや願望を実現できるのか、どのような新しい市場をつくり上げたいのか、市場の中でどのような存在になりたいのか、社会や暮らしの未来にどのような影響を与えるのか、などをブランドに大切なお客さま像や、ニーズや社会課題、タッチポイントや市場でのポジションを意識しながら見出していきます。

5-6. 「ブランド側」と「お客さま・社会側」両方の視点を持つ

図説で「ブランド側」と「お客さま・社会側」という2つのピラミッドを設けているのは、「ブランドオーナーの想い」と、お客さまや社会からの「ニーズや解決してほしい課題」の両方が十分に反映された上で、独自の「ブランド価値」として融合することが、最も理想的な「ブランドコンセプト」の姿だからです。

 

例えば「ブランドオーナーの想い」が強すぎると、お客さまや社会から求められない独りよがりな状態に陥ってしまったり、逆にお客さまや社会からの「ニーズや解決してほしい課題」が強すぎる場合、他のブランドとの差がなく独自性のない状態になる場合があります。そのため、様々な視点を交えながらしっかりと時間をかけ、ちょうど良いバランスを何度も協議をしながら開発していくことが重要です。

6. 誰もが「ブランド価値」を理解できる「ブランドコンセプト」を

目を止めていただくことも大事ですが、「ブランドコンセプト」は、広告などの「キャッチコピー」とは別物ですので、かっこよさや奇抜さなどは一切不要です。最も重要なのは、正しく「ブランド価値」を伝え、多くから「共感」を生み出せること。そして、「ブランドの判断基準」として活用してもらうためにも、だれもが同じようにブランドを理解できることが最も重要です。

 

そのため、ブランドに相応しい言葉遣いや、誰もがわかりやすい単語を用いてください。また、長期的に使用するものですので、人によって理解や認識の差がある「業界用語」や「流行語」「造語」などはできるだけ避けるのがセオリーです。しかし、ターゲットを絞り込んだブランドなどは、あえてそのターゲットだけが認識できるような単語を使うことで、ブランドとターゲットの距離感を縮めるという効果も期待できます。

また、開発する際は「ブランドコンセプト」の適応範囲や解釈範囲などをどのように設定するのか、「抽象度」と「具体性」にも注意が必要です。

6-1. 「抽象度が高い」= 多様性を包括できる

包容力があり幅広い解釈ができるため、商品ラインナップや販売チャネルの変化、社会や消費者のニーズの変化などに対応がしやすいですが、ブランドの適切なハンドリングを怠ってしまうと、ブランドコンセプトを体現できず、ブランドの求心力が失われてしまう可能性があります。

6-2. 「具体性が高い」= 統一感を出せる

判断基準がより明確になるため、迅速化や効率化などの効果を期待できるとともに、「集合」としての強力な一貫した価値を訴求できます。しかし、大きな変化には対応しづらいため、無理に変化を促した場合ブランドコンセプトを体現できず、ブランドへの求心力が失われてしまう可能性があります。

7. さいごに

「ブランド価値」や「ブランドだからこそできること」をはじめ、ブランドの課題や狙いによって「ブランドコンセプト」を含めた「開発するべきブランドの姿」は大きく変わります。ブランドの規模やリソースによっても異なります。ですが、「ブランドコンセプト」が重要なことは全てのブランド共通ですので、ブランディングの際は「ブランドコンセプト」を活用し、長期的に「選ばれ続けるブランド」を目指してください。

 

本記事が皆さまのブランディングのお力に少しでもなれれば幸いです。

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