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2025年12月12日

アウターブランディングとは?インナーブランディングとの違いや進め方、事例を解説

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記事を書いた人

ブランディングディレクター

大規模商業施設やリゾートホテルをはじめ、企業やカフェなど幅広いジャンルの案件に対し多岐にわたりブランディングを推進。『脳みそから血が出るくらい考えているか』を常に自分に問いただしながら、クライアントさえ気づけていないブランドの進むべき道や可能性、デザイン表現をご提案できるよう日々挑戦中。

はじめに:自社にこんな課題を感じていませんか?

「もっと自社の魅力を市場に伝えたい」「商品やサービスの価値が十分に認知されていない」。こうした課題を感じている企業にとって、アウターブランディングは重要な取り組みです。

 

アウターブランディング(エクスターナルブランディング)とは、企業が社外に向けてブランド価値を発信し、一貫した体験として届ける活動のことです。多様な接点を通じて企業の姿勢や価値を伝え、認知・信頼・選択につなげていきます。この記事では、アウターブランディングの基本からインナーブランディングとの違いと関係性、具体的な進め方、成功事例まで解説します。これからブランド力を高めていきたいと考える企業担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の主なトピックス

1. アウターブランディングとは?目的や効果を解説

2. アウターブランディングとインナーブランディングの違い・関係性

3. アウターブランディングを進める前に、理解しておくべきこと

4. アウターブランディングのメリット

5. アウターブランディングの進め方

6. アウターブランディングで失敗しないためのポイント

7. アウターブランディングに成功した企業の事例

8. アウターブランディングに関して、よくある質問

1. アウターブランディングとは?目的や効果を解説

アウターブランディング(エクスターナルブランディング)とは、企業が社外のステークホルダー(顧客、取引先、社会、求職者)に向けて自社らしさを“体験として届ける”取り組みです。

 

広告・SNS・Webサイト・イベントなどの多様なチャネルを通じてブランドの世界観を届けることで、競合との差別化や新規顧客の獲得につながり、企業の長期的な成長基盤を築く役割を果たします。ここで重要なのは、単なる“情報発信”ではなく、すべての接点(タッチポイント)で、同じブランド体験を提供すること。「イメージを良くする」ではなく、自社の価値や姿勢を識別しやすくし、選ばれやすい状態をつくるための仕組みをつくることです。

アウターブランディングの誤解しがちなポイント

一方で、多くの企業が誤解しがちな点があります。それは「ブランディングをすれば商品が売れる」「イメージが良くなれば選ばれる」という考え方です。その結果、ブランドの「イメージや世界観を統一すること」だけにこだわり続け、読まれづらい情緒的な長文の文章を発信したり、雰囲気はいいけど魅力が何か分かりづらい写真を発信したりと、何が魅力なのかが伝わらないブランドもよく見かけます。

 

実際には、ブランディングは“売る理由”そのものにはなりません。実際に顧客が商品を選ぶ理由は、「便益(Benefit)=得られる価値」だからです。ブランディングはその便益をわかりやすくし、識別しやすくし、選ばれやすい状態をつくるための仕組みにすぎません。

2. アウターブランディングとインナーブランディングの違い・関係性

インナーブランディングは社員向け、アウターブランディングは社外向けの活動という違いはあるものの、両者は密接に影響し合います。アウターとインナーは独立した施策ではなく、互いに影響し合う一体のブランド基盤です。ここでは両者の関係性を整理します。

関係性1:社内理解が社外発信の質を決める

社員が理念や価値観を深く理解しているほど、外部に届けるメッセージは実態に裏付けられた強いものになります。社内の理解が浅いままでは、広告や発信内容が形だけになり、ブランドの魅力を十分に伝えられません。インナーの成熟がアウターの質を左右します。

関係性2:「内側の行動」と「外側へのメッセージ」には一貫性が必要

外部へ伝えるメッセージと、社員が日々実践する行動が一致してこそ、ブランドは本物として評価されます。内外のギャップが大きいと「言っていることと実態が違う」と受け取られ、信頼を損ねる原因につながります。一貫性はブランド価値の根幹を支える要素といえるでしょう。

関係性3:どちらか一方だけでは機能しない

インナーが弱いとアウターの説得力は不足し、アウターを進めることでインナーの理解が深まることもあります。そのため、両者を分断せず、同じブランド基盤の上で連動させることが重要です。

3. アウターブランディングを進める前に、理解しておくべきこと

ここでは、アウターブランディングを進める前に、まず理解しておくべきことを解説します。

その1:ブランディングは“便益(Benefit)”の代わりにはならない。

アウターブランディングを進める前に、まず理解しておくべきことがあります。それは、ブランディングは商品の便益を補うものではないということです。顧客が商品やサービスを選ぶ理由は、ブランドイメージだけではなく、その商品を使うことで得られる“価値”=便益です。

 

では、そもそも「便益(Benefit)」とは何か?それは、顧客が商品やサービスを通じて得られる価値のことで、大きく以下の2つに分けられます。

機能的便益(Functional Benefit)

 

便利になる、効率が上がる、安心できる、成果が出る、などといった実利的な価値を意味します。

  • 例:お金を持つことで将来への備えができる
  • 例:SaaS導入で業務が効率化する
  • 例:コミュニケーションロスが減る

情緒的便益(Emotional Benefit)

 

「好き」「かわいい」「心地いい」「自分らしさを感じる」といった感情面の価値を意味します。もちろん、“かわいいから買う”という選択も、れっきとした便益です。

  • 例:使うと気分が明るくなる
  • 例:かわいいデザインだから持ちたい
  • 例:そのブランドを選ぶ自分に満足できる

顧客は商品そのものではなく、商品を通じて得られる機能的・情緒的な価値のセットを選んでいます。さらに以下では、便益の役割やブランドとの関係性をまとめます。

その2:便益は「発信段階で考えるもの」ではなく「開発段階から設計すべきもの」

多くの企業は、ブランディングや広報のフェーズに入ってから「便益をどう伝えるか?」を考えようとします。しかし本来は、便益は 商品・サービスの開発段階から明確にしておくべき要素です。たとえば、以下の内容が不確定なまま商品をつくると、発信内容は表面的で曖昧になり、ブランドの軸もぶれやすくなります。

  • 誰の、どんな課題を、どう改善するのか
  • どんな良い状態を提供できるのか

 

一方で、便益が明確なサービスは、以下のような理由からブランドが自然と強くなります。

  • 価値が明確
  • 誰に届くべきかが分かる
  • 言語化しやすい
  • デザイン・世界観に一貫性が生まれる

 

結果として、アウターブランディングの質が圧倒的に高まります。ブランディングは、この便益を社内外に一貫して届けるための仕組みづくりです。

その3:ブランドの役割は便益を“理解しやすくすること”

ブランドの役割は、便益を飾り立てることではありません。あくまで、「便益を分かりやすく伝える」「他社との違いを識別しやすくする」「思い出しやすくする」「一貫した印象をつくる」という “便益を適切に受け取ってもらうための基盤づくり” がブランドの役割です。

その4:便益が明確でないままアウターブランディングを行っても効果は薄い

便益が定義されていない状態でいくら発信をしても、伝わるメッセージが断片的になるため、結果としてブランド全体の説得力が弱くなります。逆に、便益が明確だと以下のような“良い連鎖”が生まれます。

  • メッセージがぶれない
  • ターゲットが明確になる
  • デザインや世界観に軸ができる
  • 発信内容の精度が一気に高まる
  • 担当者やパートナー会社に左右されない

 

アウターブランディングを始める前に、便益を商品設計の段階から明確にし、企業のDNAやPURPOSEとも結びつけておくことが、最終的に最も大きな成果につながります。

4. アウターブランディングのメリット

アウターブランディングには、主に6つのメリットがあります。アウターブランディングを強化することで、企業は多角的な効果を得られます。

メリット1:認知度の向上

アウターブランディングを強化すると、企業やサービスの存在をより多くの人に知ってもらえるようになります。理念や独自価値を明確に発信することで、消費者の記憶に残りやすくなり、選択肢として思い出される機会が増加します。

メリット2:市場競争力の強化

アウターブランディングにより、自社ならではの理念・価値・ストーリーを明確に伝えることで、消費者に「なぜこの企業を選ぶべきか」を理解してもらえるようになります。結果として、模倣されにくい独自のポジションを築き、市場競争力を獲得できます。

メリット3:ブランドへの信頼獲得

一貫したメッセージと誠実な姿勢を外部へ発信し続けることで、企業への信頼が蓄積されます。理念や社会的な取り組みを可視化することは、消費者の安心感につながり、購入の意思決定にも影響します。また、社内の行動と外部発信が一致していることで、より強固な「信頼できるブランド」として認識されます。

メリット4:顧客ロイヤルティの向上

アウターブランディングによって企業と顧客の関係性が深まると、顧客は単なる利用者ではなく、ファンとしてブランドを支持するようになります。また、価値観に共感するほど、他社に流れにくく、継続的に商品・サービスを選ぶ傾向も。さらに、口コミやSNSで自発的に拡散する行動につながり、ロイヤル顧客がブランドの成長を後押しする存在にもなるでしょう。

メリット5:新規顧客獲得や採用力の向上

ブランドの世界観や企業姿勢が明確に伝わることで、これまで接点がなかった層にも興味を持ってもらいやすくなります。加えて、企業文化や価値観をわかりやすく発信することは採用活動でも有効で、「この企業で働きたい」と感じる候補者を増やします。商品購入・サービス利用だけでなく、組織づくりの面でも大きな効果があるでしょう。

メリット6:長期的な事業成長への貢献

アウターブランディングによって認知・信頼・共感が積み上がると、短期的な売上だけでなく、事業全体の持続的成長につながります。顧客が増え、ブランドへの支持が強まるほどリピート率や紹介が増え、安定した売上基盤が形成されます。また、市場からの信頼が高まることで新事業の展開やパートナー獲得も進み、企業の成長スピードが加速するでしょう。

5. アウターブランディングの進め方

アウターブランディングは感覚ではなく、手順に沿って進めることで成果が高まります。重要なステップを順に紹介します。

ステップ1:自社のDNA・便益の整理(ブランドの核を明らかにする)

まず、「自社がどんな価値を提供しているのか」を整理します。便益(Benefit=顧客が得られる価値)を明確にすることで、ブランドの軸が定まります。これらを開発段階から言語化しておくことで、後の発信や表現が一貫しやすくなります。

ステップ2:PURPOSE(存在意義)と戦略明確化

次に、自社が「なぜその価値を提供するのか」という存在意義と戦略を言語化します。PURPOSEが定まることで、ブランドの方向性が明確になり、社内外の判断基準にも一貫性が生まれます。PURPOSEを踏まえ、提供価値や市場での立ち位置、ターゲットを定義することで、統一的でブレない発信が可能になります。

ステップ3:IDENTITY(言語・視覚表現)を設計する

ブランドの核とPURPOSEや戦略などが整理できたら、次はそれらを伝える言語表現と視覚表現の統一を行います。具体的には以下のような要素です。

  • ブランドコンセプト
  • メッセージ
  • ロゴ
  • カラー
  • タイポグラフィ
  • トーン&マナー

 

上記のような、あらゆる表現要素をブランドの一貫した世界観としてまとめます。IDENTITYを定めることで、どのチャネルでも“同じブランド”として認識されやすくなり、発信の軸がぶれなくなります。

ステップ4:発信チャネルと体験(EXPERIENCE)の設計

ブランドのIDENTITYを踏まえ、社外とのあらゆる接点を設計するフェーズです。アウターブランディングでは、単に「発信すること」ではなく、“体験としてどう届けるか”が非常に重要です。また、発信先を誤ると、どれだけ良いメッセージでも届きません。ターゲットの行動特性に合わせ、最適なチャネルを組み合わせることが重要です。複数のチャネルが連動することで、認知と理解を一気に高めることができます。

  • 若年層の例:TikTok、Instagram、YouTube
  • ビジネス層の例:LinkedIn、Facebook、ニュースメディア
  • その他の例:地域住民イベント、新聞、店舗

ステップ5:実行・検証・改善(EVOLUTION)

アウターブランディングは一度発信して終わりではなく、効果検証と改善を繰り返すことで成果が高まります。ブランドは環境と共に進化していくものであり、継続的な改善こそが長期的成長につながります。SNSの反応、問い合わせ数、Web流入、売上などの指標を分析し、メッセージやチャネルを調整しましょう。特に継続的な検証はブランドの成熟度を高める重要なプロセスで、長期的なブランド価値向上に直結します。

6. アウターブランディングで失敗しないためのポイント

アウターブランディングは、単に情報を発信するだけでは成果につながりません。価値(便益)・世界観・体験のすべてが一貫していなければ、期待した効果を得ることは難しくなります。ここでは、アウターブランディングで特に注意したいポイントを整理します。

ポイント1:メッセージと体験の一貫性を必ず保つ

アウターブランディングでは、すべてのチャネルで「伝える内容」と「語り口」に一貫性を持たせることが不可欠です。発信するメッセージが媒体ごとに異なると、受け手はブランドの方向性に疑問を抱き、信頼低下につながります。

ポイント2:便益(Benefit)を曖昧にしたまま発信しない

便益が定まっていない状態でアウターブランディングを進めると、メッセージは必ず表面的になります。競合との差別化ポイントも見えづらく、メッセージが埋もれる原因になります。便益が曖昧だと、ブランドは“本質が見えない状態”になり、どれだけ発信量を増やしても共感や信頼は生まれません。便益は発信前に整理するのではなく、商品やサービスの企画段階で定めることが重要です。

ポイント3:ターゲットごとの理解度や価値観に合わせて発信する

同じブランドでも、受け手の理解度や価値観、行動特性によって響くメッセージは異なります。年齢、役割、関心領域などの違いを踏まえ、ターゲット別に最適化した発信を行うことで、伝わり方は大きく変わります。SNS、イベント、Web広告などのチャネル選択もターゲット視点で設計することが重要です。誰に向けた情報かを明確にすると、成果が出やすくなります。

ポイント4:ブランドの世界観を統一した状態で展開する

Web、SNS、広告、パッケージ、店舗など、すべての接点における世界観が統一されているほど、ブランドは“記憶に残りやすく”“識別されやすく”なります。「発信ごとにトーンが違う」「ビジュアルに統一感がない」「ロゴやコピーの使い方がバラバラ」などといった状態では、ブランドとしての印象が薄れ、アウターブランディングの効果が半減します。これらは IDENTITY(言語・視覚ルール)が整っていないことが原因です。

ポイント5:社内の巻き込みが不十分にならないようにする

ブランド施策は一部の部署だけで完結すると、社内全体の理解が進まず、外部との接点で不一致が生まれます。営業、カスタマーサポート、人事など、顧客と関わる部署ほど巻き込みが重要です。ブランドの意図や伝えたいメッセージを共有し、社員が自分事として語れる状態をつくることで、社外での体験価値が統一され、信頼度の高いブランディングが実現します。

7. アウターブランディングに成功した企業の事例

アウターブランディングは実践例を見ることで理解が深まります。そこで、私たちエフインクがサポートしたアウターブランディング事例から、成果につながったポイントを紹介します。

成功事例 1:株式会社ニコリオ【自社事例】

従来のブランド構成では「社名」「ブランド名」「ECサイト名」がバラバラで、顧客や見込み客にとってどれが“本当のブランド”か分かりづらい状態にありました。また、健康食品業界にありがちな“あやしさ”や“信頼の弱さ”というマイナスイメージも抱えられていたため、ブランド変更と信頼回復が急務でした。

 

この課題に対し、私たちはまず 「利用者の安心・信頼」や「日常になじむ使いやすさ」 という便益を徹底的に整理。そして、ブランドネーミング、ロゴデザイン、パッケージ、Webサイト、梱包資材などを一新し、ブランドとしての統一性を取り戻しました。

 

この一貫したブランディングにより、商品は機能性表示食品へのグレードアップ、取り扱いカテゴリの拡大などにつながり、健康食品だけでなく化粧品・美容機器など多角展開が可能に。既存の顧客に安心感を提供し、新規顧客にも「信頼できるブランド」として認識される土台が整ったといえます。

成功事例2:アサヒメタルファイン株式会社【自社事例】

これまで貴金属の販売・買取・預託などを別々のサービスとして運営していましたが、初心者向けの資産形成市場を狙うにあたり、「使いやすさ」「安心できる環境」「分かりやすいサービス体系」が求められる一方で、既存構造では“選びづらさ”“敷居の高さ”が障壁となっていました。

 

そこで、私たちは「貴金属投資という行為を、“人生の選択肢のひとつ”としてポジティブに受け入れてもらう価値」を便益として再定義。そのうえで、既存のオンラインストアとゴールドクラブを統合し、総合ポータルサイト Asahi Grellia Gate を立ち上げました。ネーミング、ブランドロゴ、世界観、UI/UX、情報設計、導線設計など、サービス設計をまるごと再構築しました。

 

この統合と再設計により、貴金属に馴染みのない若年層でも「資産形成を気軽に始められる」「自分らしい選択をできる」という便益が伝わりやすくなり、自然検索からの流入増、会員登録率や購入率の向上、そしてリピートや継続利用につながる利用体験が実現されています

成功事例3:DXE(ディーエックスイー)【自社事例】

DXE株式会社は、産業廃棄物処理業界の業務効率化を支援するクラウドサービス「DXE Station」の提供において、複雑な手続きや紙業務が多い現場で“誰にでも使いやすい仕組み”を求められていました。

 

エフインクはまず、DXE Stationが提供している「便益(業務負荷の軽減・作業ミスの削減・安心できる運用)の実現」を整理し、その価値を核にブランドの方向性を再定義。UI/UX改善、情報設計、視覚表現の統一までサービス全体を見直し、操作に不慣れなユーザーでも迷わず使えるブランド体験へと再構築しました。

 

その結果、2024年度のグッドデザイン賞を受賞。業界特有の煩雑さを“わかりやすく、誰もが扱える仕組み”へ変換した便益設計と、それを支えるUI/UX・ブランド一貫性が高く評価されています。

8. アウターブランディングに関して、よくある質問

読者から特に多い疑問をまとめました。取り組み前の不安解消に役立つポイントをQ&A形式で解説します。

Q1. アウターブランディングはどんな施策から始めればいい?

A. 最初の一歩は、いきなり広告やSNS運用を強化するのではなく、自社がどんな価値(便益)を提供しているのかを整理することが第一歩です。競合との違いを整理し、ブランドの核となるメッセージを定めたうえで、最も効果が出やすいチャネルから小さく実践すると失敗が少なくなります。既存顧客の声を活かし、「伝えるべき価値」を抽出するのも効果的です。

Q2. インナーブランディングとアウターブランディングはどちらを先に取り組むべき?

A. 結論としては、どちらか一方だけを先に進めるという考え方はおすすめしません。理由は、ブランドは「内側(社員)と外側(顧客)」が一体となって成立するからです。

 

  • インナーが弱い → 外へ伝えるメッセージが形骸化し、説得力に欠ける
  • アウターだけを進める → 社内の理解が浅く、顧客体験にズレが生まれる

 

理想は、DNA・PURPOSE といったブランドの核を共通の土台として、インナーとアウターを並行して整えていくことです。自社の状況に応じて、「まず外に伝えることから始める」「まず社内理解を深める」というケースもありますが、どちらも“同じブランド基盤に基づいて進める”ことが重要です。

Q3. アウターブランディングの成功事例にはどんな特徴がある?

A. 成功する企業には明確な共通点があります。特に次の3つです。

 

1. ブランドの核(便益・PURPOSE)が定まっている

何を提供し、誰に、なぜ届けるのかが明確な企業ほど、外に向けた発信がぶれません。

 

2. 社内と社外の体験が一致している

インナーでブランド理解が深まり、社員の行動やサービス品質がブランドメッセージと一致しています。

 

3.一貫したブランド体験をつくっている

Web、広告、SNS、店舗、商品、サポートなど、あらゆる接点で“同じ印象”を届けられています。

 

さらに、短期施策ではなく、継続的にブランドを改善し続ける姿勢(EVOLUTION)がある企業ほど長期成功につながっています。

Q4. 予算が少ない場合でも、アウターブランディングは可能?

A. 可能です。むしろ、予算が限られている企業こそブランドの核(便益・PURPOSE)の整理が最重要です。核が明確であれば以下のようなメリットが期待できます。

 

  • 小さな発信でも伝わりやすい
  • SNSなど低コストなチャネルでも効果が出る
  • 無駄な発信・制作物が減る
  • 社内の認識も統一されやすい

 

特に、WebサイトとSNSのトーンを統一するだけでも、ブランドの“らしさ”は十分伝わります。

Q5. 発信しても反応が薄い場合、何を見直すべき?

A. 反応が薄い場合、広告の出稿量やタッチポイントを見直しがちですが、まずは以下の4点をチェックすることをおすすめします。

 

  • 便益が明確か?→ 何を伝えているか理解されているかを確認する
  • ターゲットが適切か?→ 誰に向けて発信しているのかを再点検
  • 表現(IDENTITY)に一貫性はあるか?→ トーンやビジュアルの統一性を確認
  • 発信チャネルが適切か?→ ターゲットの行動特性と合っているか

 

アウターブランディングは、施策の改善より前にブランド基盤の見直しが解決策になることが非常に多い分野です。

Q6. ブランドが複数ある場合はどう進めればいいですか?

A. 複数ブランドを扱う企業では、まず企業全体のDNA・PURPOSE を明確にし、その上で個々のブランドの役割や提供価値を整理します。「企業ブランド(コーポレートブランド)」と「事業ブランド」「商品ブランド」など、これらがバラバラに動くと、顧客にとってわかりにくい構造になります。統一されたブランド体系(ブランドアーキテクチャ)を明確にすることで、アウターブランディングは格段に進めやすくなります。

Q7. ブランド浸透を加速させる方法はありますか?

A. 特に社内浸透において、効果的なのは次の3つです。一見遠回りで、教科書通りのように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、コツコツと積み上げること。これがブランディングにおいて最も重要です。

 

1. 社内ワークショップの実施

社員自身がブランドの価値を言語化することで、理解が深まり浸透が加速します。

 

2. ブランドルール(IDENTITY)の可視化

誰が作っても世界観がぶれないよう、デザインやメッセージの基準をまとめます。

 

3. 小さな成功体験を積み重ねる

全社で一度に変えようとするのではなく、部署単位で“できる範囲の改善”を積み上げるほうが浸透しやすいです。

さいごに:自社らしいブランドを社内外で育てていこう

アウターブランディングは、単なる情報発信ではありません。便益を明確にし、その価値を一貫した体験として社内外に届ける仕組みづくりです。エフインクでは、核となるDNAの発見からPURPOSE策定、IDENTITY開発、インナー・アウターの体験設計、ブランドの進化支援まで、一気通貫でサポートしています。

 

「自社の価値を正しく伝えたい」「選ばれ続けるブランドを育てたい」そう感じている方は、ぜひお気軽にエフインクまでご相談ください。

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