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2024年02月15日

ブランディング成功の鍵を握る「ブランディングチーム編成」の役割や効果について

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ブランディングディレクター

大規模商業施設やリゾートホテルをはじめ、企業やカフェなど幅広いジャンルの案件に対し多岐にわたりブランディングを推進。『脳みそから血が出るくらい考えているか』を常に自分に問いただしながら、クライアントさえ気づけていないブランドの進むべき道や可能性、デザイン表現をご提案できるよう日々挑戦中。

1. ブランディング推進チームとは?

私たちエフインクのようなブランディング会社がお客さまのブランディングをサポートする際、まずはじめにお願いをしているのがプロジェクトを最後まで同じ方々と推進できるよう「ブランディング推進チーム」をご用意いただくことです。

 

ご用意いただくことで、進行する上でお互いに負担を最小限にしながらも、深い議論やアイデア創出、アウトプットの質向上などブランディング全体に良い影響を及ぼすため、ブランディングの成功に直結します。

 

そこで今回は、「ブランディング推進チーム」の編成や重要なポイントなどについて実際の経験などを交えながらまとめてみました。

2. チーム編成の種類と目的

ブランディングを行う場合、内容に応じて半年から1年ほどの期間が必要となります。その期間の中で何度も担当者が変わっては、深い議論や良いアウトプットに繋がりません。チームメンバーや、意思決定のプロセス、連絡手段などをチームとともに構築することで、進行する上でお互いに負担を最小限にしながらも円滑にプロジェクトを進めることが可能となります。

 

「プロジェクトチーム編成」の編成は、企業の文化や風土、規模、ご都合、プロジェクト内容などに応じて効果的な編成方法がありますので、いくつか代表的なものをご紹介いたします。

編成1. 企業の代表に加え経営層を中心とした編成

企業や企業の核となる商品、サービスなどのブランディングを行う場合など、企業にとって重要な役割を担い、経営判断と合わせてトップダウンにより力強い判断とともに進めていきたい場合の編成です。最も力強く企業代表の意見を反映させることができるため、大きな変化を遂げようとする場合には、最も有効な編成です。

編成2. 企業の代表に加え全社員を参加させる編成

「Case1」の目的に加え、全社員参加による全社的な活性化や、ボトムアップ型の企業風土へと変革したい場合や、現場の声など多角的な意見やアイデアが必要な場合の編成です。ただし、社員数が多すぎるとプロジェクトが混乱する原因となりますので、社員数が20名程度までの小規模な企業限定となります。

編成3. 企業内の複数部署から募った社員さまを中心とした編成

企業や商品、サービスなど幅広いブランディングに対応可能で、社員さま主導で現場の意見や意志を取り入れながらボトムアップ的に進めることができます。ボトムアップ型の企業体質に変革したい場合や、大規模商業施設のブランディングなど、複数部署からの多角的な意見やアイデア、専門的な知識などが必要な場合に効果的な編成です。

編成4. 企業内の特定部署から募った社員さまを中心とした編成

日頃からコミュニケーションがとれている特定部署の社員さまのみで構成することにより、綿密な協議やプロジェクトに対する時間や人材の確保、スピード感ある対応がしやすくなるため、ブランドの世界観をより深く構築する必要がある商品やサービスなどのブランディングに効果的な編成です。

 

 

これらの編成に、私たちエフインクであれば、全体を管理するディレクターと、ロゴやグラフィックなどを担当するデザイナー、企画などを立案するプランナーを基本として参画させていただき、議題などに応じてコピーライターやカメラマンなどを交えながら一丸となってブランディングを推進していきます。また、フェーズに応じた議題や開発内容によってはチーム外の社員さまにもピンポイントでの追加参加をお願いする場合もあります。

3. チームに最も必要な役割「意思決定者」

ブランディングを進行していく上で、重要な決断をしていただく場面は非常に多く訪れます。そのため、チーム内にある程度の領域まで決断できる「意思決定者(決裁権のある方)」がいるかいないかで、全体の方向性をはじめ、アウトプットのクオリティ、プロジェクトのスピード感などあらゆる要素に大きな影響を及ぼします。そこで、「意思決定者(決裁権のある方)」がいない場合に起こり得ることをいくつか例示してみました。

例1. プロジェクトの遅延や負担の増加

どんなに小さなことでも、一旦持ち帰っていただき確認や決定となるため、プロジェクト全体の進行が遅れることや、過程や議論内容などを説明するために資料などにまとめ直す場合、チーム全体の作業負担が大きくなる場合があります。

例2. 意図しない決定につながる

チーム内で議論し、過程や理由などさまざまな要因を共有できていたとしても、その場にいらっしゃらない方に全てを共有し理解いただくことは、非常に難しい作業です。そのため、十分に理解いただけず、意図しない方向性での決定となる場合や、これまで進めたことがやり直しとなる場合があります。

例3. 熱量がなくチーム全体が活性化しない

ブランディングの成功は「いいブランドをつくる!」「このブランドを広めたい!」といったチームの熱量が直結します。しかし、意思決定者がいないことにより誰も責任をもてない状況になることや、判断軸がないことなどにより、積極的な意見やアイデアが生まれづらい状況となってしまい、チーム全体が活性化しない場合があります。

4. コミュニケーションを活性化させる役割や機能

3章でお伝えしたとおり、チーム編成において「意思決定者(決裁権のある方)」の存在は非常に大きいものとなりますが、日々のコミュニケーションをどのように構築するかも非常に重要な役割を担うため、下記に例示した役割をまず最初に決めておくことをオススメします。

日々の連絡担当者

ブランディングを推進する際には、ブランディング会社やチーム内での打ち合わせ日程調整、デザインデータや調査データの受け渡し、資料の共有、相談やお願いなど、かなり密なやりとりが発生します。そのため、連絡に対して対応する担当者を1〜2名決めておきましょう。

連絡アプリや情報共有アプリ

ブランディングには、密なやりとりの発生や、それぞれが対応すべきタスクなど多くの作業が発生いたします。そのため、日々のやりとりやそれに関するデータ、タスクの内容や期日、進捗状況などを一元化するために、まず最初に連絡に使うアプリや情報を共有するアプリなどを指定しておきましょう。弊社の場合、連絡には「Slack」か「Chatwork」、オンライン打ち合わせには「zoom」、タスクやデータ管理には「Notion」の使用をオススメすることが多いですが、企業のセキュリティや契約状況などに応じてプロジェクト毎に適したものを活用しています。

5. 「つくる」だけではなく「育てる」までがチームの役割

「ブランディング推進チーム」と共にブランドの価値やコピー、ロゴ、グラフィック、WEBサイトなど、いわゆる「つくる」フェーズを終え、いよいよ社内外への発表となりますが、チームの役割はここで終わりではありません。それは、ブランディングにおいて、発表後の「育てる」というフェーズが非常に重要だからです。

 

ブランド発表後は、チーム外の大勢の力により、さまざまな取り組みや施策などを通じて社会やお客さまにブランドが伝わっていきます。その際に間違った伝え方をしてしまっては、元もこもありません。そのため、今まではチーム内のみで共有していればよかったものを、企業やブランド全体に関係するチーム外の社員や外部のパートナーなど全てのステークホルダーで共有する必要があります。

 

ブランドに不可欠な要素を正しく共有し、理解いただくための取り組みをはじめ、ブランドにふさわしい訴求や活用がされているかのチェックや、より良い活用法の模索や検証などを経ることで、はじめてブランドが社会やお客さま一人ひとりに正しく伝わり、そのサイクルを経ることにより、ブランドが大きく育っていく。それら「育てる」役割は、最もブランドを理解している「ブランディング推進チーム」を中心に進めていくことが最適です。

 

以上となりますが、本記事がブランディングをはじめるキッカケや後押しとなれれば幸いです。



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