上場時に効果をもたらすIR視点のブランディング

企業がリブランディングを検討し始めるときには、様々なタイミングがあります。その中でも効果があると考えられているのが、企業が上場するタイミングでおこなうIR視点のブランディングです。今回は、その理由と具体的な進め方について整理します。

IR(インベスター・リレーションズ)
企業が、株主や投資家に対して、投資を判断するために必要な情報(経営戦略・財務状況・業績動向 等)を自主的に提供・発信すること。

ブランディングが投資家の心をつかむ時代に

投資家が投資先を分析する際に参考とするIR情報には、財務情報(定量情報)と非財務情報(定性情報)があると言われています。

かつては、数字として明確に示されている株価や決算などの財務情報(定量情報)に注目が集まりがちでしたが、近年では、「企業が目指すビジョン」「事業の方針」「社会に対する責任」といった、直接数字としては現れない非財務情報(定性情報)に対する価値が高まっているようです。

このような背景から、しっかりしたブランドビジョンやブランドコンセプトを持ち、魅力的なデザインで企業としての取り組みを表現していくこと、つまりブランディングに力を入れて投資家の信頼を獲得しようとする動きが、企業のIR活動の考え方として一般的なものになりつつあります。

また、資産運用がインターネットなどを通じて手軽なものとなったことから、個人で好きな企業に投資をする個人投資家も珍しい存在ではなくなりました。このことからも昨今のIR活動には、プロではない一般の方にもわかりやすく、共感を得られるアプローチが求められているのです。

特に上場前のタイミングはブランディングに注力するチャンス

上場をするタイミングというのは、これまでお付き合いのあるお取引先、協力会社などのステークホルダーだけでなく、初めて自社を知る証券アナリストや機関投資家、個人投資家に向けてプレゼンテーションをし、認知度を拡大する絶好のチャンスです。

上場に合わせてブランディングを計画的・戦略的に行うことで、

  • 「私たちが何者か」
  • 「どんなビジョンをもち、どんな事業をしているか」
  • 「将来どんな成長が期待できるのか」

といった内容を、効果的に投資家に伝えることが可能となります。

上場に合わせたブランディングの進め方事例

ここからは、上場のタイミングに合わせてブランディングを実施する場合の、基本的な進め方をご紹介します。

Step 1

まず、上場までのスケジュールをチーム内で共有し、開発・制作が必要な項目をしっかり洗い出します。

次に、関係者インタビューやワークショップを通して、ブランディングを始めるにあたって必要な情報を整理します。企業のこれまでの歴史をふまえ、今後どんなブランドを目指したいのかを、関係者でとことん話し合い、意見を出し合います。

  • ブランディングプロジェクト開始、全体企画を立案
  • これまでの歴史、ブランドの強み/弱み等の整理
  • 関係者インタビュー/ワークショップ

Step 2

出し合った意見をもとに、ブランドコンセプトをしっかりと固め、ネーミング・ステートメント・ロゴマーク・ロゴタイプなど、ブランドを表現するための構成要素を、必要に応じてリニューアルします。

これらが整ったら、会社を運営するうえで必要となる、ステーショナリー・看板・グッズなど、様々なアプリケーションデザインを制作していきます。

  • ブランドネーミング開発
  • ブランドステートメント開発
  • ブランドロゴマーク、ロゴタイプの開発
  • ブランドデザインシステムの規定(ロゴ、ブランドカラー、フォントなどのルール設定)
  • 各種アプリケーションデザイン(名刺・封筒・ドキュメントフォーマット・ユニフォーム・建物サイン 等)

Step 3

あらゆるステークホルダーにブランドを正しく伝えるため、WEBサイトやパンフレットなどのコミュニケーションツールをつくります。

特にブランドムービーは、第三者にブランドをわかりやすく伝えることができることから、株主総会などイベントの場で放送したり、WEBサイトのトップとして使用したり、CM用に編集したりと、様々な場面で幅広い活用法があるため、制作することを積極的にお勧めしています。

また、上場広告としてTVCMや新聞広告などを検討する場合は、発表タイミングにあった枠を確保する必要があるため、時期を逃さないように注意しましょう。

  • ブランドコンセプトブックの制作
  • コーポレートWEBサイトの制作
  • ブランドムービーの制作
  • 上場広告(新聞、交通広告、CM 等)の準備
  • ステークホルダーに向けたブランド発表会の準備

ゴールを見据えた計画的なブランディングを

上記の進め方はあくまで一例です。また、プロジェクトの期間については、スケジュールに余裕を持って長期的に検討する場合や、限られた短期間の中で決定していく場合など、お客様のご事情によって様々です。

特に成長著しい企業の場合、上場までの流れがスピーディーであり、ブランディングに十分な時間を取れないこともあるでしょう。しかし、お客様に愛されるブランドをつくるためには、自分たちがブランドを愛していることがなにより重要です。

愛し愛されるブランドを目指すためにも、上場を視野に入れ始めたら、計画的にスケジュールを立て、じっくりとブランディングを検討することをお勧めしています。

記事に登場したブランディング用語

クレジット

  • F-INC.