成果物とテーマの明確化で効果を上げる ワークショップ実施の基本

ブランディングの進め方はさまざまですが、特にワークショップは社内の求心力を高める上で非常に効果的です。
今回は、ワークショップの実施方法や効果について説明します。

ワークショップ
会議や打ち合わせと違い、異なる立場の人が平等に意見を出し合う議論の推進方法です。 ブランディングにおいては、自社のブランドの「強みや弱みの抽出」や「未来におけるブランド像」などをテーマに、ブランドの目指す世界観を参加者全員で共有します。 ポストイットを使って意見を出し合う方法、参加者が意見をプレゼンテーションする方法など、目的に合わせたさまざまな進め方があります。

ブランドに対する社内の求心力を高める

ワークショップの実施で得られる大きな効果として、社内へのブランド価値の浸透が挙げられます。

社内の職域を超えてフラットに議論を交わすことでブランドとして目指すべき方向性がチームで共有できると、社内スタッフの自主性を育むことにもつながり、長期的にブランドを育んでいく上でかけがえのない価値となります。また、ワークショップに参加した方がブランド全体を引っ張っていく存在になることはめずらしくありません。

一方で、ワークショップでは多数の意見を汲み取ることにより、ブランドコンセプトに個性がない(強みがわかりづらい)結果になってしまう可能性もあります。多くの意見は汲み取りながらも、目指すゴールを意識して、適切なタイミングで方向性を集約し、ブランドとして目指す姿を明確に描くことが重要です。

ワークショップの成果物とテーマを定義しよう

ワークショップは目的を持って行うことが大切です。そのためには、成果物の形を決め、その成果物を導き出すためのテーマを設定する必要があります。

ワークショップの成果物は推進する内容によってさまざまですが、一般的にワークショップの中で散りばめられた言葉を組み上げて、1つの「ブランドコンセプト」として明確化することが多いです。

ブランドコンセプトは、自分たちの言葉を端的に言語化し、ブランドの目指すべき方向性を社外的にも社内的にもわかりやすくすることが大切です。場合によっては、ブランドコンセプトのみではなく、ブランドのネーミング(名称)やブランドシンボルについてワークショップで取り上げてもいいでしょう。

取り上げるテーマは、「現状のブランドの強みと弱みの抽出」などの現状把握のためのものや、未来に向けた「今後の提供価値について」、「未来のお客様像とは」など様々ですが、大切なのは現状のブランドにおける課題意識や今後重要視していきたい点を踏まえてテーマの設定を行うことです。

特にブランドをこれから新しく作っていく場合やブランドについて社内の認知度が低い場合は、「そもそもブランドとは何か?」というような基礎的な情報共有からワークショップを始め、自社でブランドを創り上げていく重要性を社内に示すことも有効です。

環境づくりがワークショップの質を上げる

ワークショップでは個々の意見を素直に発言できる環境づくりが重要です。

ポジティブな雰囲気の中、ブランドの明るい未来について積極的に意見を出し合える時間は、ブランドにとっても、組織にとっても、大変貴重なものとなります。

そのため、より忌憚のない意見のやりとりができるよう、社内の人間関係や立場などの意識から離れるためにも、外部のファシリテーターを採用することをおすすめします。

ワークショップ中は、批判のみの意見を出すのではなく、より良くなる意見を積極的に出せるように心がけましょう。また、ワークショップにトップ(社長やリーダーなど)が参加する場合は、参加者の方々が意見を言いやすい雰囲気を作れるように心がけましょう。

ワークショップの特性を理解し、長期的な計画を

ワークショップはトップダウン型のブランディングの進め方よりも、時間と人的コストがかかります。

ブランディングの内容によりますが、ワークショップは短くても3ヶ月程の期間、2週間に1回程度の実施で全6回以上の開催が必要になると考えておきましょう。プロジェクトによっては半年以上かかる場合もあります。

また、ワークショップでは大体6〜12名程度が参加、1回の開催で3時間ほどかかる場合が多く、参加者の負担となる時間が長いため、余裕を持って進行していくことが大切です。

想定以上に議論が盛り上がったり、逆になかなか意見が集まらなかったりして成果物にたどり着けなくなる可能性もあるため、ワークショップを導くファシリテーターがしっかりと司会進行をしていきましょう。

推進の一般的な流れとしては、ワークショップで意見を募り、ファシリテーターがまとめ、次回のワークショップで共有、ディスカッションに活かしていきます。

次のケーススタディで具体的な流れを見てみましょう。

Case.コーポレートブランドのコンセプトおよびネーミング開発

私たちが、企業の「ブランドコンセプト」と「ネーミング(名称)」の開発をワークショプで推進した事例を紹介します。以下のように全6回(1回3時間程度)の中でテーマを設定し、議論を進めていきました。

1回目 オリエンテーション

テーマ(目的)

ブランド価値の重要性とワークショプを開催する意味の共有

成果物

  • ブランドとはなにか?の基礎講義
  • ワークショップのルールの確認
  • 強み・弱みの抽出

2回目

テーマ(目的)

企業独自の強みの明確化と目指すべきブランド像の把握

成果物

  • 強み・弱みから導き出す現状分析
  • 目指すべきブランドイメージの抽出
  • ブランドに関わるステークホルダーの棚卸し

3回目

テーマ(目的)

新ブランドの提供価値(社会における役割)の明確化

成果物

  • 3年後のお客様像の把握
  • 3年後に新しく提供できている価値の可能性
  • 新ブランドの社会に対する役割(社会・世界がどのように変化するのか)

4回目

テーマ(目的)

ブランドコンセプトの策定

成果物

  • ブランドコンセプトの方向性の提示(ファシリテーターから)
  • 協議の上、ブランドコンセプトの決定

5回目

テーマ(目的)

ブランドコンセプトをもとにした、ネーミング案の提案

成果物

  • 参加メンバーによるネーミングのプレゼンテーション
  • ネーミング案の提示(ファシリテーターから)

6回目

テーマ(目的)

ネーミングの決定

成果物

  • ブランド名称の決定

上記の推進内容はあくまで参考です。ブランドごとの特性に合わせて、観点を明確化しテーマを設定していきましょう。

記事に登場したブランディング用語

クレジット

  • F-INC.