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2024年01月11日

なぜ企業には「企業理念」が必要なのか?役割やメリットをご紹介

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記事を書いた人

ブランディングプランナー

大学卒業後、不動産会社勤務を経て2018年エフインク入社。プロジェクトでは主に企画設計・コンセプト開発・コピーライティング・進行管理などを担当。ブランドの想いをお客さまとともに紐解き、可視化し、社会へと届けることがなによりの喜び。

1. 企業理念とは?

企業のコーポレートサイトなどでよく目にする「企業理念」。企業理念がきちんと言語化されていることはコーポレートブランディングにおいて非常に重要なことなのですが、そもそも企業理念の定義を明確に知らない、という方も多いのではないでしょうか。

 

今回は「企業理念とは何か、なぜ必要なのか」について、わかりやすくご説明していきたいと思います。

(2020.03.04 公開 2023.1.25 更新)

記事に関する事例のご紹介

上記リンク先にて、事例の課題や提案内容・成果をはじめ、実際のデザインなどブランディングの詳細をご紹介しております。記事と合わせてぜひご覧下さい。

2. 企業理念の役割

「理念」という言葉を辞書で引くと、“ある物事についての、こうあるべきだという根本の考え”と説明されています。つまり企業理念とは、「私たちの企業はこうあるべき」という根本の考えを明文化したもの、と言い換えることができます。

 

企業理念は、「企業がもつ価値観」「企業の志」「企業の社会的役割」「企業の存在意義」など、“企業の重要な考え方”を社内外へと示す役割を持っているのです。

3. 企業理念と経営理念の違いは?

企業の会社概要などを見ていると、「企業理念」とよく似ている「経営理念」という言葉が出てくる場合があります。この二つは何が違うのでしょうか。

 

経営理念は、企業の広く様々な活動の中でも、「経営(事業の運営)」の考え方についてフォーカスし、述べたものを指します。企業理念は前述のように、企業の目指すべき価値観や志を示すものですので、例えば成長とともに事業の幅が広がったり、時代の流れに合わせて経営の方針が変わっても、企業理念は変わらない(変えない)ということが一般的です。

 

一方で経営理念は、企業が利益を得て成長を続けるための考え方を明文化したものですので、経営者の交代など、経営方針に変化が生じた際には見直しが求められる場合もあるでしょう。企業理念の方が上位概念で普遍的なもの、経営理念は時代に合わせて柔軟に変化するもの、と考えると分かりやすいかもしれません。

 

ただし、上記の説明はあくまで一般論であり、実際のところ、これらの「理念」の整理の仕方や名称・表現方法は、企業によって様々です。具体的な経営指針まで踏み込んだ内容を企業理念としてを制定している企業もありますし、「社是」「社訓」「クレド」「ミッション・ビジョン・バリュー」「ステートメント」「スローガン」などを組み合わせて表現している企業もあります。

 

エフインクでは、お客様の企業理念を新しく創るお手伝いする際、決められた型にはめて表現するのではなく、それぞれの企業にとって最も適した組み合わせを開発・ご提案しています。例えば、創業者の志が「社是」として十分に社員に浸透しているのであれば、あえて変更することはせず、既存の社是に未来志向の解釈を追加したり、「行動基準」などの形で足りない要素を足すこともあります。

 

お客様の課題や思いをお伺いしながらご一緒に議論し、プロジェクトごとに最も調和がとれた方法を導き出しています。

4. 企業理念があることによるメリット

ある調査では、「売上規模や経常利益が大きい会社ほど、経営理念を定めている」という結果も出ているように、社内共通の理念を定めることは、会社の運営に様々な良い効果をもたらすといえます。

 

出典元:
『幻冬舎 GOLD ONLINE』企業の「経営理念」は業績にどのような影響を与えるか?

経営理念を設定することで、具体的に以下の3つのようなメリットが期待できます。

メリット01:価値観や判断基準が明確になる

理念を定めることで、社員の中に共通の価値観や判断基準ができあがります。これにより、業務の優先順位づけや意思決定スピードが上がり、日々のパフォーマンスを向上させることができるでしょう。

メリット02:社員の一体感を醸成できる

共通の理念を理解していることで、社員全員が同じ方向性を向くことができ、同じ志のもと働く仲間としての一体感や親近感が生まれます。

メリット03:企業のブランド力が向上する

企業理念に基づいた社員の統一感のある行動や言動により、お客様からの信頼が増し、ブランドのイメージアップをはかることができます。これは売上の向上やリクルート活動の円滑化にも繋がってくるでしょう。

企業理念がわかりやすくまとめられた事例をいくつか見てみましょう。

企業理念の事例01: カゴメ株式会社

時代を経ても変わらずに継承されるべき「経営のこころ」として、「感謝」「自然」「開かれた心」の3つの言葉を企業理念として掲げています。

合わせて、ブランドのありたい姿を示すステートメント「自然を、おいしく、楽しく。」を制定し、社内外のコミュニケーションに活用。

この2つをベースに、目標時期を定めた具体的な経営方針や行動指針などを定めています。
カゴメ株式会社_企業理念・ブランドステートメント

企業理念の事例02: サントリーグループ

企業理念(使命):「人と自然と響き合う」を最上位概念に設定し、使命を実践するための「志」「価値観」「行動指針(サントリーグループWay)」をピラミッド型にまとめています。

また、これらの思いを社会と共有するためのコーポレートメッセージ(約束の言葉)として「水と生きる」を掲げ、積極的に活用。このメッセージはサントリーのあらゆる活動とつながっており、消費者にもしっかり浸透していますね。

サントリーホールディングス株式会社_コーポレートサイト

企業理念の事例03: タイガー魔法瓶株式会社

ビジョン(目指す未来)ミッション(使命・存在意義)バリュー(大切にする価値)

企業理念はこれらの3つの要素から成り立つものとしています。2022年10月にはグローバル共通の新公式サイトをオープンし、タイガー魔法瓶が大切にしている企業理念を世界各国に向けて発信しています。

タイガー魔法瓶株式会社_LIFE STORYのそばに、いつも

企業理念の事例04: 株式会社ZOZO

企業理念:世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。

ZOZOらしさが伝わる、シンプルで潔い一文でまとめています。

株式会社ZOZO_企業理念

5. 日々の行動につながる理念づくりが大切

ご覧いただいたように、企業理念の構成要素・内容の具体性・表現方法には、企業によって様々な考え方があります。他社の考え方にとらわれず、自社の歴史や社風・目指したい姿などを見据え、自社ならではの、納得感のある企業理念のあり方を探りましょう。

 

そして、最も大切なのは、企業理念が社員一人ひとりの心に響き、自分ごと化され、日々の実際の行動に結びついていくことです。

 

企業理念を定める際には、作って終わりということにならないよう、社員に理念への理解を促し、業務の実践に繋げるための仕掛けづくりも併せて考えていくことが重要です。

事例紹介:明和地所(CLIO)

上記リンク先にて、事例の課題や提案内容・成果をはじめ、実際のデザインなどブランディングの詳細をご紹介しております。記事と合わせてぜひご覧下さい。

エフインクが手がけた企業理念開発の事例として、明和地所株式会社のプロジェクトをご紹介します。

 

首都圏を中心に「CLIO(クリオ)」ブランドのマンションを販売している明和地所株式会社。1986年の創業以降供給したマンションは4万戸を数え、不動産仲介・管理・リノベーションまでをワンストップで提供しています。

 

2015年、創業30周年を機にブランドの再整理を実施する目的でプロジェクトを開始。企業風土のシフトチェンジを図りたいという経営層の思いから、ボトムアップ型で社員の声を汲み取ってブランドを見直していくワークショップ形式でブランドコンセプトの開発と企業理念の開発を実施しました。参加メンバーは希望者を面接にて選定し、様々な部署や年齢・経験などを持つ参加者が、上下関係なく意見を出し合える環境を構築。

 

ワークショップを通してメンバーから出てきた数多くのキーワードをもとに、明和地所が今まで培ってきたブランド価値をエフインクが再整理し、社員一人ひとりが自分ごととして納得できる言葉に変換。新たなブランドコンセプトと企業理念を生み出しました。

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