CASE STUDY

概要

貴金属の販売・買取・預託の総合ポータルサイト「Asahi Grellia Gate」。

AREホールディングスグループの貴金属事業セグメントにおける製造販売事業会社であるアサヒメタルファイン様。グループのパーパス「この手で守る自然と資源」のもとで、回収精製事業・製品製造事業・トレーディング事業を通じて高品質の貴金属製品とサービスを提供し、長年にわたり貴金属精製の分野で高い技術と信頼を築かれています。

 

BtoC領域におけるブランド価値を強化するため、すでに展開していたオンラインストアおよびゴールドクラブサービスを「ASAHI」ブランドとして統合。貴金属の販売・買取・預託を包括的にサポートする総合ポータルサイト「Asahi Grellia Gate」を立ち上げました。本プロジェクトでは、単なる機能統合にとどまらず、“安心して資産形成に踏み出せる体験”を、ブランドとして一貫性ある世界観で設計することが求められました。

課題

越えるべき大手の壁と、貴金属を通じて描く新たな未来。

プロジェクトの出発点は、「誰のためのブランドか」を再定義することでした。既存顧客の分析やヒアリングから導き出したのは、「これから資産形成を始めたいと考える20〜30代の初心者層」。そしてその周辺に、すでに購買経験のある30〜40代女性、貴金属投資に慣れた50代以上の富裕層を据えることで、3層構造のターゲットを明確化しました 。

 

このターゲット設計を軸に、4つの本質課題が浮かび上がりました。

 

1つ目は、「競合他社との差別化の難しさ」。老舗や大手がひしめく業界の中で、「アサヒメタルファインの金製品」というだけでは、指名性や世界観を打ち出すには不十分でした。2つ目は、「個人顧客との接点の希薄さ」。BtoB領域で培った信頼はあるものの、一般消費者との間に“距離”がありました。3つ目は、「初心者層にとっての心理的ハードル」。金=高価で難しそうという印象が先行し、“最初の一歩”を阻んでいたのです。そして4つ目は、「オンラインストアと預託サービスの分断」。一貫した体験としてのブランド設計がなされていない状態でした。

提案

ブランドそのものを「体験」として再設計。

こうした課題に対して、エフインクはブランドそのものを「体験」として再設計することを提案。信頼を象徴する証として、創業以来社名で受け継がれてきた「Asahi」という社名をブランドの冠とし、“輝きと未来の入り口”という詩的な意味を込めた「Grellia Gate」を掛け合わせ、ブランドネーミングに感性と物語性を与えました。加えて、「Asahi Online Store」「Asahi Gold Club」などのサービス名称も統一し、世界観の一貫性と拡張性を高めています。

 

コンセプトは「Invest in Your Life」──単なる資産運用ではなく、人生を豊かにする選択としての投資を提案する言語設計を実施。初心者にやさしいナビゲーション、視覚的に理解しやすい導線、ストーリー性のあるUIを整備することで、“安心して踏み出せる入り口”を形にしました。SEO/AIO設計では、「金投資 初心者」「エシカルな投資」などの検索ニーズに応える構成とし、既存のオンラインショップと役割を明確に分担。自然な流入とコンバージョン導線を構築。

 

こうして、「Asahi Grellia Gate」は、自分らしい資産形成の第一歩を応援するブランドとして再定義されました。そしてその背後には、「誰に、どのように、何を届けるか」を徹底して設計した、ブランド体験の再構築があります。

成果

“資産を育てる”という選択が、人生に新しい輝きをもたらす。

ブランドサイト公開後、オンラインストア・預託サービスともに想定を上回るユーザー流入を獲得。特に、「金投資 初心者」「エシカルな資産形成」といった情報探索系キーワードからの自然検索流入が増加し、CVR(会員登録率・購入率)の向上にも寄与しました 。また、ビジュアルやコピーに共感したユーザーからのポジティブなフィードバックも増加。SNSやメールマガジンを通じたリピートユーザーの動きが徐々に顕在化しており、ブランドへの信頼感が“体験”を通じて育ち始めています。

施策・制作物

ブランドの世界観を紡ぐ、静かな光と質感

Asahi Grellia Gateの世界観を写真で体現するにあたり、目指したのは「資産=堅い・近寄りづらい」ではなく、「貴金属=自分らしい豊かさの象徴」としての自然な存在感でした。撮影では、ゴールド・シルバー・プラチナの輝きが過度に主張せず、空間に調和しながらも確かな存在感を放つよう、光の入り方や質感のニュアンスを徹底的に調整。あえて生活の延長線上に配置することで、“持つこと”“選ぶこと”が日常とつながっている感覚を演出しています。

 

木、石、布、草花といった自然素材と組み合わせることで、無機質な金属に温度と余白を与え、堅牢さとやさしさが共存するブランドの姿勢を表現。また、インゴットやコイン単体だけでなく、ギフトシーンやインテリアへの取り入れ方もビジュアル化することで、資産=飾れる・贈れる・愛でられるものとしての新しい見せ方に挑戦しました。「Asahi Grellia Gate」というブランドが、単に投資の入口ではなく、自分らしい未来を思い描くきっかけとなるように。そんな願いを込めて、一枚一枚を設計しています。

総合ポータルサイト「Asahi Grellia Gate」

「Invest in Your Life」という一貫した世界観をもとに、コピー・ビジュアル・UIを統一。初心者視点のわかりやすさを重視し、「買う・知る・預ける・学ぶ」の4メニュー構成で初心者にも親しみやすく直感的なUXを実現 。“安心して一歩を踏み出せる体験”を提供しました。SEOも「金投資 初心者」「エシカルな投資」などのキーワード対応により、情報探索段階からブランドに触れてもらう設計です。その上で、貴金属に不可欠な信頼性や堅実性などのイメージを色数を厳選したカラーパレットや余白、タイポグラフィーで表現しています。

 

ブランドコンセプト「Invest in Your Life」

「Invest in Your Life ─ 未来を輝かせる、価値ある選択を。」は、単なる資産形成の促進ではなく、人生そのものを豊かにする選択肢として貴金属と向き合う姿勢を提案するブランドコンセプトです。このコンセプトは、「金や銀、プラチナに投資することが目的ではなく、その選択が自分や家族、そして未来のために“意味のある行為”となってほしい」という、想いから生まれました。特に、投資に不安を感じる若い世代に向けて、資産価値だけでなく「日々の充実感」「ライフスタイルとの親和性」「未来に誇れるエシカルな選択」といった情緒的価値も同時に伝えることで、これまでになかった“共感できる投資体験”を目指しています。

 

また、ブランドコンセプトはブランドの強みや想いを集約した4つの提供価値から構成されており、「Invest in Your Life」という言葉に深みと実感を与える構造となっています。コンセプトはロゴ・ネーミング・サイト構造・コピー・ビジュアルなど、すべてのブランド接点に一貫して反映され、ユーザーの人生に寄り添う“体験”として設計されています。

「Asahi Grellia Gate」の名称とロゴに込めた想い

ブランド名の「Grellia」は、製品特徴でもある「グリーンゴールド(リサイクル由来の原料で製造される金地金製品)」や「繁栄・成長・豊かさの象徴である緑」を意味する「Green」と、貴金属の輝きを表現した「Brilliant」を組み合わせた造語。そこに、未来を切りひらく入り口を意味する「Gate」を組み合わせることで、輝きの先に続く、まだ見ぬ未来への希望が込められています。ブランドロゴは、金属が放つ静かな重厚感と洗練性を両立させながら、親しみやすく自然体であることを目指しました。過度な装飾を避けた余白設計や色調設計により、“信頼できる美しさ”を静かに語ります。

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