
MC “WELLNESS BASE”株式会社MC
ブランディング領域
施策・制作物

ブランディング領域
施策・制作物
三郷市を拠点に、神経難病専門の介護施設を運営する株式会社MC。同社が新たに構想したのは、駅前の商業施設内に、一般の方向けの介護相談と、介護事業者同士の情報交換ができる、地域拠点の立ち上げでした。
現場で多くのご家族と関わるMCは、長年「介護はある日突然始まる」という現実に向き合ってきました。介護が必要になってから慌ててサービスを探したり、とりあえず入居できる近隣の施設を選んだり。そうした場当たり的な選択が、本当にその人や家族にとって幸せな結果につながっているのか。MCは、その前提そのものに疑問を抱いてきました。
介護は「必要になってから考えるもの」とされ、日常の暮らしから切り離されて語られることが少なくありません。しかしMCは、日々の生活の中で自分自身や家族の未来について考える時間を持つこと、その延長線上に介護があると捉えています。より良い未来を迎えるために、できるだけ早い段階から寄り添い、支えていきたい。その想いが、この拠点設立の原点でした。
エフインクは本プロジェクトにおいて、「この場所が、誰にとってどのような意味を持つ存在になるのか」を整理するところからスタート。コンセプト設計、体験設計、ロゴ開発、Webサイトやリーフレットなどのツール開発までを一貫してご支援しています。
介護は誰にとっても無関係ではないはずなのに、多くの場合「まだ自分や自分の家族には関係のない話」として受け取られてしまいがちです。駅前・商業施設という日常的な場所に拠点を構えるにあたり、この心理的な距離感をいかに縮められるか、どうすれば多くの人が気負わずに立ち寄れるかが、大きな課題となりました。
介護を「困ったときの対処」として捉えるのではなく、これからの暮らしや人生をより良くしていくために、早い段階から向き合うべきテーマのひとつとして捉え直す。その考え方を多くの方に向けて発信する施設として検討していくことをご提案しました。
このビジョンを象徴するブランドコンセプトとして掲げたのが、「未来を迎えにいこう。」というメッセージです。「いつか」を漠然と不安に思うのではなく、今の生活の中でできる小さな選択や行動を、少しずつ重ねていく。介護を、そんな前向きな意思決定の延長に位置づけることを目指しました。
このコンセプトを体験として伝えるため、空間や機能の設計にも工夫を施しています。まず、介護を暮らしや健康といった身近なテーマと地続きで感じられるよう、ブックディレクター・山口博之氏が選書した「ケア」をテーマにしたライブラリーを設置。あわせて、イベントやワークショップを開催できる機能を設け、相談を目的としなくても自然に立ち寄れる機会を作り出せる設計としました。
また、専門性の高さを保ちながらも、身構えずに過ごせることを重視し、相談エリアのプライベート性を確保しつつ、スタッフが働くオフィスエリアからライブラリーエリアまでをシームレスにつなぐレイアウトを採用。居心地がよく、気負わずに滞在できる空間を目指しています。
施設名として定めた「WELLNESS BASE」も、介護を単独のテーマとして扱うのではなく、「より良く生きる」というウェルネスの文脈の中に位置づけたいという思想を象徴するネーミングとして開発しました。
今後は、日常の延長線上で介護に触れる機会が積み重なることで、早い段階からの相談・納得感のある選択につながっていくことや、介護従事者の情報交換の場として機能することが期待されます。こうした変化が地域に根づいていくよう、引き続きブランドづくりの視点からご支援を続けていきます。
※画像はイメージです。実際の制作物とは異なる場合があります。
※画像はイメージです。実際の制作物とは異なる場合があります。
ブランディングプランナー/コピーライター
デザイナー
空間/エレメントデザイナー
ブックディレクター
横田 泰斗
WEBデザイナー
カメラマン